新年のご挨拶=サンパウロ日伯援護協会会長 菊地義治


新年特集号

ニッケイ新聞 2012年1月1日付け

 新年明けましておめでとうございます。サンパウロ日伯援護協会を代表して一言、新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年は祖国日本にとって非常に厳しい年でありました。リーマンショックから引き続くデフレ不況、前代未聞の大津波による東日本大震災、崩壊した原子力発電所からの放射能漏れ、汚染の問題等々不幸な出来事が連続して起きた一年でありました。大震災による犠牲者の方々、被災者のに改めて衷心からの弔意とお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災に際しましては援協も他の日系団体と一緒になって義捐金を募り、皆さまから集まった貴重な浄財を被災者の皆さまに届けさせていただきました。ここブラジルの日系社会の全員が一日も早い祖国、日本の復興を願っていますという強い意思表示だけは出来たのではないかと自負致しております。
 さて、お蔭さまで援協は発足して54年目を迎え、今や12の事業所、2千名の職員を擁する大きな団体に成長致しました。その間、一貫して創立の理念であります「社会的弱者の救済援護」を第一義に、医療事業と社会福祉事業を通じて日系社会及びブラジル社会に貢献して参りました。
 昨年は援協にとってもいろんな出来事があった変革の一年でありました。大幅に定款を改正、初めて評議員会制度を導入し、4月の選挙で私が会長に就任致しました。
 そして早速、喫緊の課題である2012年、今年に迫った公益福祉団体の認可更新の問題への取り組みを開始致しました。近年、ブラジル政府の公益福祉団体に対する認可基準がとみに厳しくなり、援協もこの厳しい認可基準を満たすための具体的な対応策を求められておりました。
 理事会内に専門委員会を立ち上げ、援協の総力を結集して対応策を検討した結果、サンミゲル・アルカンジョ市当局及び地元日系社会の切実な要望と全面的な支援の表明を受けて、SUS専門病院建設を決定、昨年9月に定礎式を行い、今年6月の開業を目指して現在順調に進んでおります。
 さらに今年は緩和ケア病院の建設事業、自閉症児療育事業等の日系社会及びブラジル社会が必要としている重要プロジェクトにも着手して参ります。
 一方で急激に大きな団体に成長した援協の組織の改編と人材の育成も焦眉の急となっており、この課題につきましても積極果敢に取り組んで参ります。
 経済発展を続けるここブラジルで、如何に社会と融和しながら発展していくのか、これは日系社会に突き付けられた大きなテーマであります。援協は今後とも、創立の理念を忘れることなく着実に実践し、日系社会の中核団体として、ブラジル社会にも貢献していく所存であります。
 最後になりましたが、みなさまのご多幸とご繁栄を祈念致しまして年頭のご挨拶とさせていただきます。