コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年1月17日付け

 野田政権が発足してから4ヵ月。人気は急低下。支持率はやっと30%と低迷している。小川防衛相と山岡消費担当相は、問責決議され内閣の不安定が続き、やる気十分の首相も力を振るいようがない。首相は、問責決議に法的な強制力はないと、両閣僚の辞職を拒否したが、これまでの慣例では、自民党の額賀防衛長官を始め辞任するのが「決り」だし、首相も致しなく更迭に踏み切った▼こうしたのが今回の内閣改造の裏舞台だが、岡田克也前幹事長を副総理兼一体改革担当相として起用したのが、新味といえば新味に映る。新しい防衛相には田中直紀参議となったが、安保や防衛について詳しいのかどうかと疑問の声も多い。あの小泉内閣の外務大臣として豪腕を振るった真紀子衆議のご主人であり、今太閤の田中角栄元首相の女婿とした方が一般には解かりが早い。しかも、反主流派の小沢元代表に近い▼今、防衛省は沖縄の普天間空港を名護市辺野古へ移設するという難問を抱えており、これが実施できるかどうかは日本とアジアの安全保障に拘わることであり、とても難しい。それほどに沖縄県民の反対は強いし、これをどう乗り切るか?である。首相にとっては、消費税を10%に引き上げるの増税論が、もっと重い▼現在の借金財政と社会保障を考えれば、増税は必要とする首相の意見は正論である。だが—小沢元代表や鳩山元首相らは猛反対だし、離党者も10人ばかりいる。岡田副総理の入閣も、この難問を解決したいの首相の意向を受けたものだし、野田政権の本番はいよいよこれから始まる。(遯)