普段のお茶を格式高く=静風流灯楽会が初煎会

ニッケイ新聞 2012年1月24日付け

 煎茶道静風流灯楽会(森由里子会長)は、日本文化を紹介することを目的に22日、大阪なにわ会館で初煎会を開催した。着物に身を包んだ生徒や指導者がお点前を披露、参加者らは煎茶と冷茶を楽しむ優雅な午後を楽しんだ。
 江戸時代初期に誕生し、格式にこだわらない自由さや茶葉の使用が特色。1988年の設立以来、石本光暁会主が年2回当地を訪れ会員の指導を行ってきた。現在会員数は45人、7人の指導者が自宅で稽古を実施する。煎茶道の流派は40近くあるが、静風流では躾を重視していることから、近年は子供の参加も増えている。
 初煎会では、井料堅治顧問が「一煎のお茶を通じて日本の伝統である『相手を尊敬する、相手の気持を想う』精神的文化を子孫に受け継ぐよう、皆心を注いで煎茶道に励んでいます」と会を代表して挨拶を述べた。
 ブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長や憩の園の吉岡黎明会長も参席し、井料顧問が「宇治茶よりもいい」と絶賛する福岡県星野村産の八女茶を使ったまろやかな玉露などを堪能した。
 和菓子はポルト・アレグレの日本菓子研究家に特別注文しただけあり、上品な甘さと洗練された見た目に「美味しい」「日本の味に近い」と好評だった。
 最後に、最高級茶などの抽選も行なわれた。
 本紙の取材に対し森会長は「日本でも煎茶道の存在を知らない人は多い。日常的に頂くお茶なので気軽にも楽しめるし、格式高く頂くこともできる。哲学的なことや社会的関わりも学べる奥行きのある世界です」と煎茶道の魅力を語った。
 お茶の種類を質問するなど興味を示していたブラジル日系老人クラブ連合会の五十嵐司会長は「香りがとても良かった。今、老人クラブでもお茶体験を計画中です」と語った。
 8歳から日本の精神的文化に惹かれ、家では靴も履き替えるというフランシスカ・フレイタイさん(51、サンパウロ市)は、「今回で3回目の参加だけど、本当にすばらしい。今月からお茶の稽古も始める」と意気込んでいた。