パイロット=サンパウロ州ジュンジャイに新工場起工=今年10月の竣工目指す=早乙女社長「高品質のペン充実図る」

ニッケイ新聞 2012年2月8日付け

 文具メーカー『パイロットペン・ド・ブラジル』(早乙女(そうとめ)辰男社長)は2日、サンパウロ州ジュンジャイ市の工場団地内(Av. Jose Benacci, 1919)で新工場の定礎式を行なった。約30人が出席した。今年10月竣工、来年1月の稼動開始を目指す。早乙女社長は「今後の規模を拡大に重要な生産拠点となる。高い品質の製品を作り続けたい」と力を込め、約300人の雇用を見込まれることから、ミゲル・アダジ市長は「市の発展に大きな貢献となる」と期待した。

 敷地面積は3万6千平米、工場面積は1万3600平米で総工費5千万レアル。サンパウロ州サンミゲル・パウリスタ市で稼動している現工場(58年建設)が手狭になったため、「サンパウロ市への交通の便と、洪水の心配がない」(早乙女社長)ことを理由に同地での計画を07年頃から進めてきた。
 主力生産品目は、国内市場の80%以上を占める油性マーカーをはじめ、カラーペン、ボールペンなど。当面は現工場の機能移転だが、順次生産ラインを増設。生産規模は現工場の約2・5倍まで拡大する。
 ブラジルにおける同社の筆記具市場の総合占有率は3割程度。原料は日本から輸入しており、ブラジル他社に比べ高品質で頑丈さが特徴。
 早乙女社長は「低価格品は考えてないが、現状よりも安価な中・高価格帯の充実を図る。主力品ではライバル社はない」と自信を見せる。
 マーケティング担当のリジオ・クレスポ取締役は「今後は児童向けの商品も展開したい」との展望を述べた。
 パイロットのブラジル進出は54年で、日本国外では初の生産拠点だた。現在は、米国、仏、インドネシアに工場を置く。日本の同業他社『ぺんてる』もブラジルに生産拠点(サンパウロ州ジアデマ市)がある。