ブラジル日系文学=新たな〃時代〃の訪れか=日、米国文芸誌と交流=非日系人の応募が急増

ニッケイ新聞 2012年2月24日付け

 ブラジル日系文学が実施する「武本文学賞」への応募が、日語部門約80に対し、一昨年から非日系によるポ語部門が約300に上るなど急増している。中田みちよ編集長は「審査も難しい」と嬉しい悲鳴を上げ、会員の増加にも期待を寄せている。また昨年からは、日伯間で初の文芸交流となる「広島ペンクラブ」と相互での作品掲載を始め、今年3月からは米国の平成社との交流も決まった。一世の減少とともに衰退止む無し、と思われていた日系文芸界に新たな動きが生まれつつあるようだ。

 同会は1966年に鈴木悌一、武本由夫両氏により『コロニア文学』の名で創設された。現在は年1回武本文学賞を実施、年3回文芸誌『ブラジル日系文学』(4百部)を刊行している。
 貴重な新人発掘の場である武本文学賞。非日系人による応募数が伸びている現象に対し、中田編集長は「賞金も出るし、ブラジルの雑誌にはほとんどアマチュア用のコンクールがないからでは」と推測している。
 武本憲二会長も、「賞を貰うことは励みになる。入賞者にはブラジル社会でどんどん活躍してもらいたい」と現状を喜ぶ。
 会員250人のうち、一世がほとんど。16人が非日系、日系が35人で双方伸び悩んでいることから、入賞者には会への加入も勧めている。
 新たに始まる平成社との交流に関して、中田編集長は「アメリカ人と結婚した人が多いようで、私たちとは感覚が違う。きっと面白いはず」と盛り上がりを期待しつつ「日系社会のある国なら同人活動もあるのでは」と更なる交流の可能性も探っている。
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 同会は『定期総会』を16日午後1時半から同会会館(Rua Vergueiro, 819, sala 2, Liberdade)で、『第29回武本文学賞受賞式』を宮城県人会館(Rua Fagundes, 152, Liberdade)で、3月25日午後2時から開催する。
 総会の議題は前年度会計・事業報告、今年度事業予定、随筆選集第5号刊行について。
 授賞式の受賞者は日語部門14人、ポ語部門8人。式典後はカクテルパーティーがある。
 問合せは同会(11・3203・2018)まで。