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沖縄県人会=5世代繋げる家系図を=与那嶺会長が呼びかけ=「先人との縁作りに」=会員減少の歯止めにも期待

ニッケイ新聞 2012年3月8日付け

 「今のうちに残さなければ、移住してきた先祖の歴史がなくなってしまう」—。ブラジル沖縄県人会の与那嶺真次会長は、県系移民たちの足跡を残そうと各移住者家族子弟の家系図作りを開始している。世代が下るにつれて薄くなるウチナーンチュ意識を維持し、会員減少の歯止めにも期待をかけるプロジェクトになりそうだ。

 47都道府県中、最大の県人会であり、「ウチナーンチュ大会」など母県との繋がりも強い。
 しかし、70年代の最盛期に4千人を数えた会員数も、一世の高齢化などで現在は2500人と減少の一途をたどる。親が会員でもその子供達は加入しない例が多い。
 「参加して何の得があるのかばかり考える傾向にある」と話す与那嶺会長は、会員減少の一因にウチナーンチュ意識の希薄さを挙げ、片手の指を広げ、次のように説明する。
 「船で海を渡った親指(一世)世代のことは、中指(三世)世代が生きているうち子孫に伝えられるが、亡くなれば孫の小指(五世以降)がルーツを辿る手がかりがなくなり、親指と小指の関係が断ち切られてしまう」
 総会後、44支部に配布した用紙には、市町村、船名、着伯年月日、配偶者の各家族の連絡先を記入する欄が設けられている。
 また、沖縄が中国と交易する際に名乗った『氏』、集住する一族の各家庭を識別するためにつけられた『屋号』、中華圏の国々で父系の血縁団体を指す『門中』など、沖縄ならではの情報も保存する。
 そのほか「配偶者の消息」欄を設け、婚約者の家系も合わせて記録していくほか、親戚の情報も入れ、県人子弟の追跡を容易にする工夫も。
 家系図作成と同時に、写真や日誌などの資料も移民資料館(昨年8月開館、ジアデマ市)に一度集め、コピーしたものを保管する。
 「1万枚ほど集められれば、研究者にとっても有用な資料となるのでは」。今後は5年ごとに再配布して、改定していく。データは今後立ち上げられるHP上でも見ることができるようになるという。
 与那嶺会長は「移住者一人一人の家族に歴史がある。それを後世へと伝えることは県人会の仕事であり責務。家系図とともに香炉の灰も順次集めていきたい」と強い意志をうかがわせた。

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