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頑張れ!被災地の皆さん=大震災1周年によせて =1日も早い復興を祈る

ニッケイ新聞 2012年3月10日付け

 あの愛する祖国日本がこんな姿に——。コロニアが、ブラジル社会が、世界が驚愕した東日本大震災から1年を迎える。早朝のテレビから流れてくる津波の映像、原発が次々に爆発する映像などはまさに想像を絶するものであり、「本当なのか」と誰もが一度は疑った。しかし、現実は冷酷であり、刻々と被災者数、死亡者数は積みあがっていった。宮城県人会、福島県人会、岩手県人会などからメッセージをもらった。これを機に1周年の想いを新たにし、我々はどんな継続した支援ができるのかを、コロニアとして一緒に考えたい。(編集部)

世界の人々も思いは一緒=提言 大防潮堤を兼ねた沿岸道路を=岩手県人会会長 千田曠曉

 昨年3月11日に突如として東日本を襲った忌わしい大震災から1年を迎えるにあたり、改めて亡くなられた方々のご冥福を祈り、また被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 震災直後の特別番組で、見た事もない画面を見せつけられ、広範囲に及んだ大津波に人々は逃げ惑い、お構いなしに自然や建造物はじめ町や農地を舐めつくし、力つきた人々をも呑み込み津波の恐ろしい威力を感じました。
 続いて世界で稀に起こる原発事故——福島の原発が爆発し多量の放射能漏れで、広範囲な地域住民はほとんど着のみ着のまま、住居、家畜、農地を放置してまで強制避難させられた。元の居住地へ帰れる日は30年後とも云われている。本当に気の毒に思う。大震災の様々な出来事が映像の一コマ一コマの如く、未だ私の脳裏には克明に録画されている。
 私も起床直後から、安否確認をと親戚や知人、県に電話を掛け巡らせたが、どこも不通で益々不安がつのり、相当動揺していたような気がする。
 被災地全体を含め、2万人を超す人々が犠牲者になった。岩手5983人、宮城1万1266人、福島1820人と3県だけで1万9069人の犠牲者が出ている。阪神大震災の犠牲者は6千人位と聞くから、災害の大きさを物語っているような気がする。被害総額は16兆円から25兆円と見積もられている。でも亡くなった人々は永久に帰って来ないのが痛ましい。
 震災直後から義援金活動はじめ、支援物資搬送や瓦礫撤去など様々なボランテイア活動が甦り、素晴らしい国民だと思った。今後もその思いを後世に伝えて頂きたい。
 世界各国からも支援物資や義援金が寄せられ、現在も様々な支援活動が続いており、世界の人々も思いは一緒だと心強く感じました。
 さて、標題に「提言 大防潮堤を兼ねた沿岸道路を」と書きましたが、被災地の皆さんには二度と悲惨な災害にあわせたくない思いがあります。
 被災地一帯沿岸部に、最低20メートル以上の「大堤防兼沿岸道路」を100年の計で作ってはと考えます。海岸側には砕波ブロックを設け、波を砕き勢いを抑える。道路の数箇所には大きなロータリーを作り、低地から海岸へ抜ける生活道路、ロータリーの余地には景観を眺める施設などを作ればと思う。この思いを〃夢〃で終わらせたくありません。
 被災地の皆さんはそれぞれ自助努力や様々な支援を受けながら、一歩一歩と復興に向けて逞しく歩みだしています。
 国や県の復興予算が出そろい、本格的な復興の始まりと云え、被災地や県民一丸となり早く元の生活に戻って欲しいと、震災1年に寄せての思いです。「頑張れ被災地の皆さん!」

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