JICA=上下水道公社に資金協力=水資源の効率的利用目指す

ニッケイ新聞 2012年3月16日付け

 国際協力機構(JICA)が2月23日、サンパウロ州上下水道公社(SABESP)が今年度から5年間かけて実施する『サンパウロ州無収水対策事業』を対象として、335億8400万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。
 ブラジルでは都市部の上水道普及率がほぼ9割に達する一方で、漏水や盗水、水道メーターの故障等で受益者に届かず失われる水の割合(無収水率)は全国平均で37パーセントに上る。
 特にサンパウロ州は人口増加に伴い水需要も増えているが、既存の水資源量は国全体の僅か1・6パーセントに過ぎず、水資源の効率的な利用が課題となっている。
 同事業による無収水の削減で既存水源の効率的利用が可能となるほか、新規に水資源を開発する必要性がなくなるため、無用な環境破壊も避けることができる。また、水道収入の増加も見込めることから、水道事業の経営安定化も期待される。
 JICAと同公社は、生活廃水処理や無収水対策などの分野で長年に渡り南米諸国への技術協力をしている。中南米最大の水道事業体である同公社は、サンパウロ州人口の3分の2に当たる約2700万人に上下水道サービスを提供する。
 本事業は『無収水削減およびエネルギー効率化プログラム』の一環であり、サンパウロ州全域における既存水源の効率的利用による、水需要への安定的な対応を目指す。
 こうした国際協力から、同公社は昨年「第7回JICA国際協力感謝賞」を受賞しており、同日賞の授与が行なわれた。