東西南北

ニッケイ新聞 2012年4月3日付け

 エイプリルフールの1日、サンパウロ市では、左傾化を強めたゴラール政権が軍のクーデーターで崩壊した1964年3月31日から48周年を受け、〃コルドン・ダ・メンチーラ〃と称するグループによるデモ行進が行われた。コンソラソンの墓地から、反体制派学生のジョゼ・ギマランエス氏が死亡したマリア・アントニア通りを経て、政治社会警察の本部だった建物を目指す行進に加わったのは、政治活動家や、サンパウロ市内のサンバチームのメンバー、劇で活躍する人々など多種多様。カーニバルの時期にロープで囲んだ中を踊り歩くサンバグループ〃コルドン〃と、嘘(メンチーラ)を引っ掛けた名称も見事だが、軍政下で迫害された人を家族に持つ人々は、ブラジルは軍政時代の犯罪が裁かれていないラ米で唯一の国であり、汚点だと訴え続けている。軍政下には人権侵害が実際に起きたのに、それを隠すのもメンチーラ…。
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 4月2日でフォークランド紛争から30年。近代化した西側諸国の最初の戦争となったことで世界史的な意義も強いが、ラ米的にはこの戦争の敗戦によりアルゼンチンの軍政批判が一気に強まり、翌年の民政移行につながった意味で大きかった。戦勝国の英国側については、奇しくもサンパウロ市の映画館で2月から公開されている映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」でも詳しく描かれている。