コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年4月11日付け

 持病の関係で昨年6月から毎週2回ずつ注射を打ちにUBS(市立診療所)へ通っている。先日テレビ番組『ファンタスチコ』で医療業者が病院職員に不正取引を申し込む様子をスクープした件を書いたが、あの後、注射に行くと「システムが変わったから、まずは受付に並んで受診票を作れ」と言われた▼今までは、看護部に直接いっていた。受付には10数メートルも行列があり、40分かかった。毎朝血圧を測りに来る常連は「ブロクラシア(官僚主義)だ」との怒りを受付嬢にぶつけ、看護夫にも怒鳴った▼受付嬢は「これが続くなら辞める」といい、看護夫も「バガブンドと言われた」と涙目をし、「テレビに告発した病院職員はきっと局から金を貰っているに違いない」と批難した▼この変更があの番組と関係あるか知らないが、保健省から通達があったらしい。以前のシステムだと治療をしていないのに、したことにして医療代金を不正に着服するなどの手口がやり易かったのか▼次の時、受付嬢は2人に増えていた。本来は受診票をABC順に並べて棚に返却しなければならないが、コラム子の受診票はまだ受付カウンターの上に20センチも山済みされた未返却の束にあるらしく、受付嬢はそこを捜し始めたがすぐに諦め「新しいのを作って、前のが見つかったら一緒にする」と言った▼きっと次に来た時は未返却の束は2倍になっているだろうと思いつつ、「改善」なのかと考え込んだ。「役人は手続きマニア。原因を見ず、手続きさえを増やせば不正が防止されると思っている」との看護婦の言葉が虚しく耳に木霊した。医療機関につける〃薬〃はないものか。(深)