モジで先駆者追悼法要=やすらぎの塔前に100人=「侍の血忘れず150周年へ」

ニッケイ新聞 2012年4月18日付け

 モジ・ダス・クルゼス文化協会(中山喜代治理事長)は14日午前8時、秋祭り会場となる総合運動場入口の「やすらぎの塔」の前で100人余り集まり、恒例の先駆者追悼法要を行った。中山理事長は追悼の辞で、総合運動場は先人の努力の賜物であり、中でもこの2年間のうちに元理事長3人(根岸健治、野村次郎、加納末広3氏)が亡くなったことに対し、まず冥福を祈った。さらに1年前に起きた東日本大震災と津波の犠牲者への追悼と一日も早い復興への祈りを呼びかけた。

 法要では本門佛立宗モジ隆昌寺(りゅうしょうじ)の高崎扇忠(せんちゅう)師が導師を務め、集まった100人ほどは列を作ってしめやかに焼香した。同師は法話で「言葉や文化は使わなければ忘れられていくが、勤勉さや真面目さという日系の血はブラジル社会で困難にぶち当たった時に真価を発揮し、維持されていくでしょう」とのべた。
 最後に元理事長(95〜98年)の綱木憲明さん(のりあき、87、北海道)がマイクを握り、「最高の祭りは県連日本祭りだが、モジ秋祭りは州内2位といえるのでは」とし、中山理事長以下、若返った理事会にパラベインスを送った。
 「この10年間、若者の日系社会離れという黒い霧が漂っている。ここは個人主義、同化、雑婚の国だが、『サムライの血を受け継いでいる』との気持ちだけは忘れずにいてくれれば移民150周年も行われるだろう」と締めくくった。
 モジ文協最盛期の70年代には23団体が加盟し、1500家族が参加していた。それを記念して1500個の石で作った土台の上に、23本の石柱を組み合わせ、頭頂部に文協を象徴する柱を立てた記念塔「やすらぎの塔」を建立し、1985年10月に除幕した。内部には過去帳が備えられ、仏式法要が塔前で行われる。
 中山理事長は「数年前まで追悼法要には20〜30人しか来なかった。最近は100人あまり来るようになったのは、年長者の集まりと思われていた理事会が若返り、信頼が戻ったのだと思う」と語った。
 渋谷仁(まさし、75、二世)評議員会長も7メートルあまりある高い塔を見あげながら、「こんなモニュメントは他にどこにもないと思う。先駆者を大事にする気持ちの現れ」としみじみ語った。