希望の家=充実した施設づくりを=プログラム「キレイ」実施=共有スペースを新・改築=若い理事らが中心に

ニッケイ新聞 2012年4月19日付け

 希望の家福祉協会(上村惠ジャイロ理事長)は『プロジェクト・キ・ラゼール・テラペウチコ』(Projeto KI-LAZER TERAPEUTICO)と称し、今年1月から老朽化が進む男女別共有スペースの新改築を行なっている。2010年に開始した「プログラム・キレイ」(Programa Ki-rey)の一環で、よりよい施設を提供することで入居者の共生や社会参加を促し、生活の質の向上を図る。資金は約50万レアルを見込み、約3割が調達済み。大野孔三副理事長は「資金面が難しいが、年内の完成を目指したい」と話した。

 すでに非常時に入居者を病院まで運ぶための救急車「キ・アンブランシア」が購入・設置され、「キボウテック」事業でインターネット環境の整備が完了。現在は施設内の視覚設備を改善する「キ・シナル」や「キ・トイレ」も進行中だ。
 改装中の男女別共有スペースは、入居者らが授業外の時間を自由に過ごせる共有空間。しかし床面の凹凸や電灯の不備、身体活動用スペースの不足など様々な問題点を抱えており、大野副理事長は「直さないと使えない状態。今までは半分くらいしか使っていなかった」と話す。
 各分野のチームが問題点を挙げ「キ・ラゼール」を立ち上げた。同事業により床面の整備や通気性の改善を行ない、手すり、運動器具、体に負担のかからない椅子等様々な設備を整える。
 指導員不在時も入居者が自主的に多様な活動ができるほか、身体・職業訓練にも活用でき、幅広い用途に対応。また、来所した家族が入居者と過ごせるスペースとしても利用される。
 同事業の宮崎マウリシオ・コーディネーターは「特にキボウテックのように、情報機器を扱う場面では若い理事が活躍した」と語る。
 様々な日系団体が若者の呼び込みに苦労する中、同施設では年々若い理事の参入が増えており、仕事を持つ40代が大多数を占める。
 「若い理事もチームの立派な一員として扱い、意見を尊重している」と話す宮崎氏は「理事らはもちろんボランティアだが、希望の家で活動することで、我々もリーダーシップを磨きながら社会に貢献でき、よりよい市民のあり方を実現できる」と力を込めた。
 上村理事長は、「47年前、市川幸子先生が一人で希望の家を始め、お金も薬もない中4人の入居者をみていた。今では40人もの役員がいる。こんなに施設が大きくなったのは皆さんのお蔭で、本当に嬉しい」と喜びを語り、「私たちには施設をいつか学校にするという夢もある。その実現に向けて理事たちは頑張っている」と、更なる大事業への意気込みを語った。