商議所=ABECE ラマーリョ会長が講演=「保護貿易主義、根拠ない」

ニッケイ新聞 2012年4月21日付け

 ブラジル日本商工会議所(近藤正樹会頭)の4月の定例昼食会が13日午後、サンパウロ市内のホテルで開催され、ブラジル・トレーディング・カンパニー(ABECE)のイヴァン・ラマーリョ会長が「ブラジル貿易—保護主義と工業政策」と題して講演した。

 ルーラ政権時代に開発商工省副大臣を務め、昨年5月から現職。
 冒頭「ブラジル経済における貿易の役割は拡大している」とのべ、2002年は約1070億ドルだった貿易総額が昨年は約4800億ドルと、「約10年で輸出入ともに顕著に増え、4倍以上の延びを見せた」と説明した。
 内訳は輸出が約2560億ドル、輸入は2260億ドル。「輸入品の市場への浸透度が高まった」とし、品目として乗用車など消費財、産業用原料、生産設備など資本財を挙げた。
 日本との関係については「ここ数十年、貿易相手国の上位5、6位で、重要なパートナー」。日本への輸出では鉄鉱石、輸入は自動車やその部品などが多いという。
 製造業者の一部からは輸入の増加に対する不満の声があるといい、「自国の産業を保護すべきという主張には根拠がない」と指摘した。
 政府が取っている国内産業を保護する政策に言及し「保護貿易主義的措置はマイナスで、経済を停滞させる」と主張、関税や輸入規制についても「行うべきではない」と批判した。
 その理由として、昨年の輸出の成長率は輸入のそれを上回っていること、「侵略」との批判を受けているという資本財の輸入は20%で過去10年間変わらず、輸入品目は主に農、工業向けが多く「生産活動に必要なものが8割以上」であることなどを強調し「政府は製造業をGDPの24%まで引き上げようとしているが、その妨げになる」とのべた。
 また、GDPのうち輸入が占める割合は12%と低く「依然として世界から閉鎖的と批判されている」とした上で「ブラジルで製造されていない機械設備の輸入までも制限しているのはおかしい。インフレを抑制するためにも輸入は重要で、競争力低下の原因は輸入ではなく重税にある」と見解をのべた。
 政府が昨年から打ち出した産業活性化政策「プラーノ・ブラジル・マイオール」については、「生産性向上や革新を目指す非常に良いものだが、同時期に出てきた製造保護政策は致命的な付属品。輸入を困難にする手段として悪用されるようになった」とコメントし、最後に会場に対し「一部の貿易保護政策に打ち勝つべき。日本企業は今後大きく貢献できるはず」と呼びかけ、期待感を示した。