サンパウロ市議会=SINCAESPに銀盆章=法人に対する最高顕彰=創立当初は9割が日系人=小林ヴィットル補市議が推薦

ニッケイ新聞 2012年5月4日付け

 サンパウロ市議会は23日夜、セントロの同議会でSINCAESP(セアザに拠点を置く事業主で構成される組合)に対し、法人への最高顕彰であるサウバ・デ・プラッタ(銀盆章)を授与し、約80人の組合員や関係者らが集まって祝福した。1カ月間(昨年7月)正市議だった小林ヴィットル補欠市議の推薦。またSINCAESPの前身となるASSUESP(サンパウロ州供給センター利用者協会)創立者の一人だった長田真央さん(71、三世)も表彰され、「(設立以来)上り坂ばかりだった。亡くなった他の設立者たちとも分け合いたい」と喜びの声を寄せた。

 ジョゼ・ロブソン・コリンガ・べゼーラ組合長は壇上で謝意を示し、「設立以来困難なことが多かったが、市や州、連邦政府の協力を得てきた。生産者、運搬業者、販売業者たちの存在は重要で、彼らを守るために組合はある。社会的に影響力も大きいセアザの意思決定に関わる団体として誇りを持ち、これからも調和を保ちながら仕事に励みたい」と、途中言葉を詰まらせながらも力強く語り喜びをあらわにした。
 午後7時半から行われたセレモニーは、軍警の吹奏楽団によるブラジル歌の演奏で幕開け。冒頭でSINCAESPの概史を説明した一木セルソ副組合長によると、最初にSINCAESPの前身となるAGRESP(サンパウロ州農業団体協会)が立ち上がったのが1950年代。その後1970年に「ASSUESP」となり、労働組合となったのは88年のことだ。
 エンブー市で野菜作りに従事し、同市の副市長や市議も務めた長田さんは設立当初を「組合員の9割が日系で、300人ほどいた」と振り返る。
 サンパウロ州の食糧供給の6割を担うセアザ。設立以降、SINCAESPはセアザで営業許可を受けた事業主の販売活動を活発化させる場として中心的役割を果たす。
 また、ブラジルだけでなく南アメリカへの食糧供給中心地として、州内にとどまらず南米各国でも適用できるような商品梱包や仕分けの規格化などのプロジェクトにも携わってきた。
 飯星ワルテル連邦下議は祝辞で「組合の歴史は都市部への食料供給に貢献した農家の奮闘の歴史。サンパウロは成長し続けており、物流や様々な規格化などの問題解決は大きな課題。SINCAESPは社会に対して根本的な役割を果たしている」と賞賛した。
 小林補欠市議は銀盆章受章に推薦した理由として「SINCAESPはセアザの事業主の権利を守る主要な組合。セアザと事業主がより良く仕事をできるように、組合が尽力していることに敬意を表したい」とのべた。
 セレモニー終了後は写真撮影、カクテルなどを楽しみながら、関係者は喜びを分け合った。