大耳小耳

ニッケイ新聞 2012年5月15日付け

 「あるぜんちな丸」の着伯50年の集いで展示されていた当時の船内新聞を保管していたのは、リオのフンシャール移住地に住む岩本洲さん(70、北海道)だ。「成功した移住地といわれるが今は風前の灯。ゴイアバがなくなればデカセギしかないね」と同地の現状を語った。もともと炭鉱労働者8割、農業などその他2割で占められていた同地。「昔は日本の錚々たる政治家を迎えたもの」と懐かしそうに語り、移住については「悔いはないね」の一言。すがすがしい表情を見せた。
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 先週末、フェイジョアーダの老舗と銘打つレストランに行ってみた。各種揚げ物やコウベ、パン等がついて食べ放題。だが数十年続く老舗という割に、水っぽくコクに欠けた味でがっかり。至って素朴な店の雰囲気からしてせいぜい一人50レアル程度と踏んでいたら、何と二人で250レ。「ブラジルには共通の基準がない」といわれるが、領収書を見て驚愕することもしばしば…眼力が養えそう。
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 先日13日は「母の日」。週末数多い日系イベントだが、各団体の経験上、集まりは悪いのだろう、小紙の知るところでは見事に一つも催しが行なわれなかった。日本であれば、むしろ母の日に絡めたイベントが多くありそうなだけに、改めてブラジルの家族の繋がりを感じさせられた。取材がなかったこともあり、パウリスタ界隈やショッピングを歩いたが、家でお祝いか、人出は少なかったよう。