SP—arte=日本の若い感性も人気呼び=村上隆氏運営『カイカイキキ』が出品

ニッケイ新聞 2012年5月16日付け

 国内外のアーティストの交流を促し、作品を広く紹介することを目的にした南米最大のアートフェイラ『SP—arte』が10日から3日間、サンパウロ市イビラプエラ公園内ビエンナーレ館で開催された。日本からは、世界的に有名な現代美術家の村上隆氏が運営するアートの総合商社「カイカイキキ」に所属する9人の若手アーティストが出品し、注目を集めた。
 今年8回目。毎年国内外から約1万9千人がアートの鑑賞・購入に訪れる。展示作品の値段は120〜100万レ以上と様々。今年はブラジル含め12カ国、約2500人のアーティストが参加し、絵画からオブジェに至るまで約3300点が展示された。
 村上氏は、アニメや漫画といったオタク文化と伝統的日本画を結びつけた独特の作風で知られ、ルイ・ヴィトンのデザインも手がけるなど海外からの評価も高い。国籍を問わず若手アーティストの育成をライフワークとし、『カイカイキキ』は教育も兼ねた多彩なビジネスを展開する。
 蓮の葉の上にちょこんと佇む大自然の化身を表したオブジェ「蓮の子」(青島千穂)、漫画的な手法で性倒錯をモチーフに描いた「深淵にきちゃった」(幕野まえり)、自然の情景写真に落書き風の素朴なタッチで少女を描いた「ほら、あそこで手を振っている子だよ」(佐藤玲)など、漫画・アニメに親しむ若い世代ならではの感性で創造されたカラフルな作品がブースに並んだ。
 同フェイラに出席した田崎奈央プロジェクト・コーディネーター(40、東京)=在NY=は「皆さんアートに詳しく、カイカイキキのこともよく知っている」と知名度に驚きながら、「ブラジルでは日本の漫画が人気で、美術への理解があることを前提に作品を選んだ。漫画やアニメなど自分たちが知っている世界がアートになっているのが面白ようだ」と手応えを感じていた。