コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年5月26日付け

 「私が献血出来ないのは、十分なポ語または英語能力がないからです」
 日伯を通じて初めて訪れた献血センターで、医者との面接の最後に復唱させられた屈辱的な言葉である。
 病気の可能性や血液検査では調べにくいリスクを、面接をすることで減らしたいという意図はわかる。病院側も正常でない血を血液バンクに入れてしまうことは絶対に避けたいことだろう。
 しかしそれにしても、外国語の医学的な専門用語を使った質問に完璧な応対ができる外国人はどれだけいるのか。また、簡単に嘘をつけてしまう口頭での面接をそこまで重要視するのはなぜなのか。
 献血の本来の目的は一人でも多くの人を助けることにあるはず。実質的な「外国人お断り」で可能性を狭めてしまうのなら、それによって血が足りず救われなかった命は浮かぶ瀬がない。(酒)