宮崎県串間市使節団、イビウーナを訪問=姉妹都市提携25周年=交流事業の再開も視野に

ニッケイ新聞 2012年5月30日付け

 宮崎県串間市の使節団が25〜27日の3日間、イビウーナ市との姉妹都市提携25周年を記念し、同市を訪問した。25日には市役所と文協を表敬訪問、26日には同市最大規模の祭りの視察、27日には文協であった記念式典に参列した。同市の森光昭副市長(78)は12年間途絶えている人材交流事業について「より親交を深めたい。再開できれば」と前向きな姿勢を見せていた。

 串間市は宮崎県の最南端に位置する人口約2万人。マンゴーやきんかん、海の幸などが名産。
 同市出身でイビウーナの日本語学校で教師を務めた岩下鉄太郎さん(88)と、使節団の一人で当時市長だった山下茂さん(75)の尽力により、1987年に姉妹都市として提携。毎年双方から研修生を派遣するなどの交流を行ってきたが、ブラジルの経済状況の悪化や治安面での不安から、2000年を最後に交換留学事業は停止となった。
 以来、関係性が途絶えがちになっていたが、今年の節目を迎えるにあたり両市関係者が調整。今年3月にイビウーナ側の招待という形での使節団訪問が決まった。
 訪問団は、森副市長、山下元市長、門田国光市議会議長(67)、ジュリアン・ブランド国際交流員(24)、野辺大介総務課主事(29)の5人。3日間滞在し、同地の視察を行った。
 訪問初日の25日、シュハスコを楽しんだ昼食会の後、市長への表敬訪問のために市役所を訪れた一行を出迎えたのは、日伯の国旗を持ち、紅白の浴衣・法被を着た地元小学生約50人。山下元市長以外は初来伯だという使節団を「クシマ・クシマ・クシマ」の大合唱で歓迎した。
 エントランスではブラジル人歌手による祝福の歌が披露され、市庁舎前で提携25周年を記念する記念碑のお披露目も行われた。
 熱烈な歓迎に門田市議会議長は「感動で言葉が出ない」と感慨深げ。イビウーナ文協に移動した後は、併設する日本人学校のおやつの時間に参加。簡単な日本語で会話するなど、児童との交流を楽しんだ。
 翌日には、日系人経営農場やイビウーナ市最大の祭りであるサン・セバスチャン祭りを視察した。27日に文協サロンで行われた記念式典には、25年前の市長であるゼジット氏も出席。森副市長、村松弘一イビウーナ市長は、来賓挨拶で今後さらに交流を深めていく意思を確認した。
 山下元市長はイビウーナ側の歓待に対し「来て良かった。私たちの訪問を心から喜んでくれているのが伝わってきたことが一番嬉しい」と満足げに話した。
 イビウーナ訪問に先立ち24日、ブラジル宮崎県人会は串間市の使節団の歓迎会を同会で開いた。35人が参加し、地元宮崎の話に花が咲き、賑やかに行われた。
 谷広海会長は「出身者の情報交換、交流の面で日本からの県人を迎えるのは非常に意味がある。ブラジルまで来てくれてありがとうという感謝の気持ちが一番」と歓迎の意を示した。