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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月30日付け

 サンパウロ市メトロのストに対し、州知事は「選挙の年ゆえの政治的な動き」と批判した。労働組合を支持母体にもつ連邦政府与党(PT)がサンパウロ州与党(PSDB)を貶めるためにやったと言いたい様だ▼蔵相は自動車IPI減税を発表した。これもルーラ元大統領のおひざ元たるサンベルナルド市の自動車労組を助けるためという説も聞こえる▼国際環境会議「リオ+20」への先進国首脳参加が少ないと報道されているが、景気動向からすれば当然だ。中国の成長鈍化、ギリシャやスペイン発の欧州危機も響いて輸出が期待できない中、ブラジル政府は国内需要掘り起こしに必死だ。最低賃金増でもダメなら利子を下げて借金しやすくして消費を増やそう、まだ足りないなら減税と次々に政策が発表される。どこまで国民を借金漬けにする気か▼当国は景気動向と選挙の与党人気が比例する土地柄であり、政府は選挙対策もあって景気浮揚に必死だ。でも今年のPIBは3%を下回るとの見方も出た。何らかの外部要因が国内に悪影響を加えれば失業率上昇につながる▼すでに借金漬けの家庭にとって失業率増は不良債権化に一直線、満水のコップへの最後の1滴だ。バブル崩壊に近づいた可能性は否定できない▼国民にとって最悪なのは、景気悪化と高インフレに同時に襲われた90年代前後の状態の再来だ。企業駐在員からは「リオ五輪までは大丈夫」と合言葉のように聞くが、誰もそんな保証はしていない▼今年の成長率が3%だったとしてもインフレが昨年以上の7%なら、国民の生活感覚としてはマイナス4%だ。庶民の生活実感としては自動車より食品減税を期待する段階まできている。(深)

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