コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年6月2日付け

 日本の政界が騒がしくなってきた。消費税増税を巡り首相と小沢元代表の会談が物別れとなり、永田町には緊迫した空気が流れ、民主党分裂かの声すらも上がる。消費増税に政治生命を懸けると言明し続けた首相としても、このまま黙って引っ込めないし、なんとかこの難問を乗り越えたい。その方策が自民、公明との連携であるが、これとても自公が求める「話し合い解散」を認めることができるかどうか—である▼国債の借金が1千兆円に近く、日本の金庫は借用証書でいっぱいになり、財政は破産に近いほどに危ない。あの破綻したギリシャよりも、もっと状況は深刻だとIMFは指摘し、改善を呼びかけたりもしたが、それほどに危機は迫っている。今のうちに手を打たないと、手遅れになるの認識が野田政権には強い。その解決には社会保障などの資金を捻出するために消費税を10%増税するしかない▼この消費税は、竹下内閣が成立させたものだが、大平正芳、橋本龍太郎両首相も国民からしっぺ返しを受けたりと、どうやら難しい政治課題のようながら今の危機を考えれば、増税もやむをえまい。自民も10%増税に反対ではないし、民主党の申し入れを受けて修正協議に応ずる気配を見せている。自民が求める「小沢切り」もあるが、問責2閣僚の交代を視野にした内閣改造に踏み切るようだし、ここら辺りから民自の連結に通ずる可能性が極めて高い▼だが、民主党には小沢氏や輿石幹事長らが「早期解散に反対」が強いのも事実だし、こうした勢力とどう対応するかの問題もあるし、政界の動きはまだ二転三転するの見方も根強い。(遯)