粛々と104年目の「移民の日」=文協大講堂法要に3百人=先人に感謝、強く発展誓う

ニッケイ新聞 2012年6月19日付け

 日本移民104周年記念の「開拓先亡者追悼大法要」が、ブラジル仏教連合会とブラジル日本文化福祉協会の主催で18日午後、文協大講堂で挙行された。約300人が来場して一人ひとり焼香し、先人の御霊に追悼の意を捧げた。今年は、クリチーバから〃移民の祖〃水野龍氏の三男・水野龍三郎さん(81、二世)も姿を見せ、父の偉業に思いを馳せた。

 釈尊讃迎会の佐藤雅江会長による開会の辞で始まり、琴と尺八の演奏とともに献茶、献花が行われ、稚児・諸僧・導師が入堂した。
 導師を務めた本門仏立宗住職のコレイア教伯さんによる三帰依文、敬白文の読上げに続き、追悼の歌「心静かに」が歌われると、訪れた人は神妙な表情で聞き入った。
 続いて来賓が追悼の辞を読上げ、焼香した。大部一秋・在聖日本国総領事は、「ちょうど104年前のこの日から、苦闘と栄光の歴史が始まった。道なき道を切り拓き、農業をはじめとする様々な分野で貢献した。後に続く子弟を立派に育て上げ、現在あらゆる分野でめざましい活躍をしていることに、総領事として最大の敬意と誇りを感じる」と称えた。
 サンパウロ市在住の近藤デイジさん(42、二世)は「日頃から祖先に対する深い感謝の思いがあって来た」と言い、「日系社会の一員でいられることにとても感謝している。法要に出席することに大きな意味があると思う」と笑顔で話した。

開拓先亡者慰霊碑法要=県連、今年もしめやかに

 ブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)も同日、イビラプエラ公園内の開拓先亡者慰霊碑前で『日本移民104周年追悼法要』を執り行った。大部一秋総領事、日系諸団体関係者、各県人会会長ら約80人が先亡者の冥福を祈った。
 園田会長は「6月18日はブラジル日系社会全体の鎮魂の日。決して忘れることは出来ない」と挨拶、導師を務めたコレイア教伯氏は過去の法要で一度も天気が崩れていないことに「先駆者のご加護」と感謝の気持ちを表した。
 読経が始まると、参拝者は一人ずつ焼香。思い思いに先亡者に祈りを捧げた。
 水野龍三郎氏は本紙の取材に対し「法要を通して父を思い出してもらえれば嬉しい」と感慨深げに語った。