「黄金の10年」へ=ブラジル日本商工会議所会頭 近藤正樹


ブラジル日本移民104周年

ニッケイ新聞 2012年6月23日付け

 6月18日に「移民の日」を迎えたことにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 過去約百年間で多くの日本人がブラジルに移住され、現在は六世が誕生、日系ブラジル人は約150万人にのぼり、その勤勉さと教育レベルの高さから政界、官界、経済界のみならず広範な分野に進出し、ブラジルの発展に大きく貢献すると共にブラジル社会に確固とした存在感を示し続けています。
 日系社会の皆様には、両国の友好関係を強化していく上で強固な架け橋の役割を果たして頂いており、この場を借りまして感謝の意を表します。
 日伯経済交流は、日本の高度経済成長を受け、多くの日本企業がブラジルに進出した1950年代に遡りますが、日系ブラジル人の方々はその先導役を務められただけでなく、日本人移民や日系ブラジル人の皆様が作り上げた「勤勉」「信頼」という評価が、日本企業のブラジル進出と市場への浸透を実現させたと思っております。
 80年代、亜国とメキシコを皮切りに中南米に債務危機が波及し、この危機に直面した日本企業の中には業績不振に陥り撤退を余儀なくされた企業もあり、90年代にかけて日伯経済関係は停滞しておりました。ですが、2004年の小泉純一郎総理の訪伯、2005年のルーラ大統領の訪日により再活性化され、ここ数年の間に多くの日本企業が進出し、新たなブームの到来を予感させます。
 ブラジル日本商工会議所が政府から正式に認可され、公共な独立団体として活動して70年以上が経っておりますが、現在では327社が加入、過去のピーク(333社)に迫る勢いです。
 国際イベントとして今月の「リオ+20」(国連持続可能な開発会議)を皮切りに2014年にW杯、2016年にリオ夏季五輪、2020年に万博(予定)、2022年に独立二百周年と「黄金の10年」が始まりますが、これらのイベントの実現に向け、都市交通、高速道路、道路、公共施設、港湾等インフラ整備への投資が必要不可欠となり、日本企業の進出が今後も増えることが期待されます。
 長年にわたりブラジル経済に強い基盤を擁している欧州企業が、昨今の経済危機で勢いを失いつつある中、日本企業にとっては本格的に進出する好機と思料致します。
 昨年11月に「日本・ブラジル商用査証覚書」の署名が行なわれ、本年1月より最長3年間有効な数次入国査証の発給を伯日両国の政府から受けることが可能となりました。これを機に日伯間の経済・友好関係の強化や、両国の交流の円滑化がさらに進むものと確信しております。
 商工会議所は日系社会の皆様のお力添えを頂きながら、経済だけでなく、政治・文化など日伯の交流促進に向けて全力で取り組む所存でございますので、これまで同様ご支援の程宜しくお願い申し上げます。