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タボン文協=「子供たちの第二の家に」=創立80周年祭典に250人=初の記念誌も目下制作中

ニッケイ新聞 2012年6月29日付け

 今年80周年を迎えたサンパウロ市のタボン体育文化協会(木曾光紀会長、90会員家族)が24日、同会館で『創立80周年記念祭』を盛大に開催した。歴代会長の親族やタボン学園創始者の親族らを始め、在聖日本国総領事館の成田強領事部長やサンパウロ市文協の木多喜八郎会長、県連の坂本アウグスト副会長ら約250人が駆けつけた。記念行事の一環として初の記念誌も制作中。会館に隣接するコロニア最古の日本語学校の一つ「タボン学園」の歴史も盛り込まれる。式典の挨拶で木曾会長は「先人が学園と文協の基礎を作って下さったお蔭で、我々子孫も日本人のルーツを保つことが出来た。今日は創始者の皆さんを称えたい」と話した。

 1919年、初の日本人家族が同地に入植。子弟を教育する学校設立を目的に、32年文協の前身となる「タボン農會」が設立された。その後、日本政府からの資金援助で同学園が建設された。第2次大戦終了後にタボン体育文化協会と改称、現在に至る。
 温かい日差しが照りつける中、同学園前に設置された祭壇前で物故者慰霊祭が執り行われた。祝詞奏上では参加者らも頭を垂れて先没者に祈りを捧げ、交替で玉串を献上した。続いて日伯両国歌が響く中、両国およびサンパウロ州の国旗が掲げられ、学園の入り口で記念プレートの除幕もあった。
 木曾会長は同文協・学園の成り立ちを説明したうえで「全ての関係者や協力者に感謝したい。先人が残した日本的な規律や価値をこれからも継承していく」と話し、「皆で頑張りましょう!」と日本語で締め括った。
 逝去した歴代会長の写真が見守るように並ぶ会館の後部には、壁一面に学園と文協の写真パネルが飾られた。壇上には歴代会長の親族や来賓が列席し、一人ひとりに感謝の意を込めた銀の記念プレートが授与された。
 今回の式典を企画し、また記念誌制作の資料集めにも尽力してきた縁の下の力持ち、宮路アリセ婦人部部長(80、二世)が代表し「80周年の歴史に輝かしい1ページを記し、これからの繁栄にも心を尽くしたい」と満面の笑顔で挨拶を述べた。
 最後に尾崎博士元会長が音頭を取り、記念パーティーが開幕。舞台で繰り広げられる余興を鑑賞しながら、参加者らはそれぞれブッフェと歓談で午後のひと時を楽しんだ。
 今回の式典には、若い世代に伝統を継承する意味も強く込められていた。同文協は学園生徒数の減少、文協役員・会員らの高齢化の進行に直面し、「若い世代に任せないと将来がない」と、今年ボーイスカウトと和太鼓グループを母体とした青年会を結成している。
 木曾会長は「私らの世代はここで育って、いい友人や思い出を作ってきた。そういう機会を次の世代にも繋いで行きたい。子どもたちにとって、第二の家になれば」と願いを語った。

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