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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年7月21日付け

 読書家で該博な智識を売り物にし実業界の論者として知られた人物ながら、中国大使に起用が決まったときには新聞が不適格人事と論難し財界首脳からは手厳しい批判もあった。外務省も中国通で鳴る中堅官僚を3人だかを公使に任命し北京に送ったのだけれども、どうやら大使殿の出過ぎを止めることは出来なかった。あの石原都知事の尖閣諸島購入の計画と政府の国有化論を公然と批判したのだから、これはもう玄葉外相が怒り心頭に発するのも当たり前である▼伊藤忠の社長と会長をも歴任し「海外勤務には源氏物語を原文で読み赴任しろ」とも語ったほどの物知りらしいが、民主党の実力者の推薦で中国大使の椅子に座ったのは、真に御めでたいが、就任し1年もすると「日本は中国にもっとODAを」と的外れ発言でマスコミや外務当局から苦笑—いや爆笑が巻き起こったりもした▼この話題の人は丹羽宇一朗氏ながら、英国のマスコミに「尖閣購入が実現すれば、日中関係に深刻な危機をもたらす」と堂々と述べた。これはもう江戸の世なら切腹ものである。霞ヶ関の外務省幹部も、堪り兼ねて大使を叱責?したそうだが、遂には外相が帰国を命じ「尖閣国有化、正しく伝達を」を命じたが、丹羽大使が「わかりました」と云ったのかどうか—甚だ疑問である▼尖閣諸島では玄葉外相が中国の楊大使と丁丁発止とやりあっているし、丹羽大使もこの応酬の事実を承知している筈である。こんな軽佻浮薄な大使なら本来であれば「更迭」が筋であろうが、そこまでは諸般の事情で踏み切れない外務大臣の苛立ちがなんとも情けなく哀しい。(遯)

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