若者ウチナーンチュ大会=〃若者宣言〃採択し閉会=「共通言語はウチナーグチに」=「新しい試み生まれれば」

ニッケイ新聞 2012年8月4日付け

 【既報関連】先月25〜29日にサンパウロで開催された「第1回世界若者ウチナーンチュ大会」は28日夜、沖縄県人会館ホールで賑やかに閉会した。同日、サンパウロ州議会で世界7カ国約150人が参加して若者国際会議が開かれ、ウチナーネットワークの持続的活用やウチナーグチの普及などをテーマに6時間にわたって議論。閉会式ではそこで合意された「若者宣言」が採択され、各国の代表者が3カ国語で読み上げた。宣言書は一行が帰国後、仲井真弘多知事、野田佳彦首相、国際連合に提出される予定だ。

 「成功に終わった」—。世界若者ウチナーンチュ連合会沖縄本部副代表の津嘉山エリカさん(29、ボリビア生まれ)=沖縄市在住=はこう安堵の声を漏らしたが、同時に今後の課題も浮き彫りになったよう。
 沖縄とブラジル以外の出身者から「自分達も準備に関わりたかった」という声があったり、最終的にはまとまったものの言語の違いもあり会議では意見が合わず、統一が困難だった。
 今大会では日本語とスペイン語を共通言語に設定したが、ブラジルからの参加者が50人以上と多数を占めたため、ポルトガル語に変わる場面が多々あった。そのため、ゆくゆくはウチナーグチを共通言語にしたい考えだという。
 本大会のサポート役として来伯した琉球大学「産学官連携推進機構」特命准教授、宮里大八さん(38、国頭郡本部町)は、連合会発足当時からアドバイザーを務める。「これだけ人が集まって、とにかく開催できてよかった。これからがスタート。自分達の力でできたという自信で、新たな試みが生まれれば」と期待を込めた。
 「南米の若者が自分達のルーツを再確認し、沖縄本部のメンバーも何らかの気づきを得たと思う」。同じような考えを持つ若者が5日間ともに過ごし、様々な交流をしたことは互いにとってよかったはず、と宮里さんはみる。
 夕食後、最後は各国代表者が一人ひとり挨拶し、大会3日目に行われた「ウチナーグチのど自慢大会」で優勝したペルーのメンバーが「島唄」を披露。全員がカチャーシーを踊った。
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 「若者宣言」の内容は次の通り。(1)県費留学生・市町村研修生のサポート体制を各国と沖縄が創る。(2)世界のウチナーンチュの情報データベースをつくる。(3)次回の世界若者ウチナーンチュ大会はアメリカ合衆国で開催する。(4)若者がウチナーグチの勉強に興味を持てる場を提供する。(5)教師派遣再開に向け海外県人会からのサポートを引き続き要請する。(6)若者に沖縄文化への興味を持たせるため世代間の交流の機会を提供する。