クイアバ〃老壮会〃発足=尾崎氏ら数人が音頭とり=デカセギ帰りで日系増加=「皆が待ちわびていた」

ニッケイ新聞 2012年8月17日付け

 日系社会を老壮年で盛り立てよう—。6月17日、マット・グロッソ州のクイアバ日伯文化協会会館で「クイアバ老壮会」が結成され、盛大に祝賀会が催された。もともとは老人会「寿会」(1973年2月創立)の活動が活発に行われていたが、デカセギブームによる人材不足で活動停止となっていた。08年のリーマンショック以降、クイアバにも帰伯者が増え、デカセギ帰りを中心に再び日系社会を盛り上げようという動きが高まった。元文協役員らが旗揚げ役となり活動を開始した。

 「最盛期で文協の会員数は240家族、寿会は80人ほど会員がいた」と振り返るのは、老壮会会長、尾崎堯さん(77、秋田)だ。当時、文協の役員を務めていた。
 1990年代のデカセギブームで文協の活動は停滞。文協の支援が基盤にあった老人会は大きな影響を受けた。
 93年には、会発足の発起人だった尾崎士郎・寿会会長が他界。高齢になっていた会員も次々と逝去し、初代文協会長だった植村直正氏が跡を継いだが、2009年に逝去した後は後継者がおらず、会は事実上活動停止となった。
 文協、寿会ともに活動再開の兆しが見え始めたのは最近のことだ。08年のリーマンショックで日本に見切りをつけた元デカセギが次々とクイアバに戻り、活動に参画し始めた。その象徴的なイベントが、2011年に始まった「七夕祭り」だ。若年層が中心となって準備にあたり、昨年は3万人以上の来場者を迎え成功を収めたが、活性化に向けてはまだまだ走り出したばかりだ。
 すでに高齢者となっていた尾崎さんら元文協役員たちも「文協の活動だけでは物足りない。自分達も何かしよう」と、老壮会の発足を検討し始めたのが一昨年。
 それが今年、念願の再結成に至った。会員は約70人で、9割は二世。夫婦で入会する人が多く、平均年齢は70歳前後。男女比はほぼ半々だが、若干女性が多めだ。
 「続々と入会希望者が来ている。それも比較的若い人」。会則では入会資格を60歳以上にしているが、50歳以上にする方向で進んでいる。
 会員の中には、昔からの友人同士も多く、今後はピクニックや温泉旅行、月1回のカラオケ大会などを開催予定だ。
 「若い人を入れたほうがいい。彼らが後々引き継いでいくし、活動の幅も広がる」と尾崎さん。「待ちわびていた老壮会の結成に一同大歓声だった」と祝賀会の様子を報告し、今後の活動にも期待を込めた。