徳倉建設 ブラジルへ本格進出=40年の海外実績活かし=中南米で広く営業活動

ニッケイ新聞 2012年8月21日付け

 中南米を初め海外で40年以上の事業実績を誇る徳倉建設(本社=名古屋、1947年設立)のブラジル支社が、本業での当地進出を図ることになり、営業活動を昨年から本格化させている。今年6月に正式就任した長田俊雄取締役社長(62、福岡)と桜井敏浩特別顧問(69、東京)が16日、挨拶のため来社した。
 同社は70年代から海外進出に乗り出し、中南米ではペルーのカラオ港付近で水道設備工事、パラグアイでアスンシオン医学部病院建設などODA(政府開発援助)関係を中心に多くの工事を受注し、東南アジアでも日系企業の工場建設などに携わってきた。
 ブラジルでは日本移民の希望に応え、70年代にサンパウロ州ウバツーバ市でうなぎ養殖を一時期していたが、インフレ高進で採算が取れず、事業停止していた。この時入手していた土地と人脈を活かし、今回は本業である建築分野での再進出を図っている。
 5年前から特別顧問を務める桜井さんは、かつて海外経済協力基金(現JICA)で長く対中南米等へのODA借款を担当し、92年からは日伯紙パルプ資源開発(CENIBRA)、99年からは日本アマゾンアルミニウム(ALBRAS)に在勤するなど〃ブラジル通〃として知られ、複数の中南米系学会や協会の役員も務めている。
 ブラジルについて「経済が弱くなることはまずない」と太鼓判を捺しつつも、当地の人件費の高さから、日系企業の中には周辺諸国へ工場を移転させ、南米諸国圏で連動させる動きがあることを指摘し、「その点、徳倉建設は中南米全体で営業活動をしてきた実績とノウハウがある。スペイン語の達者な従業員もいる」と特色をアピールした。
 長田取締役社長は92年に竹中工務店勤務時代に駐在員として滞伯していた。定年後同社から声が掛かり、昨年から出張ベースで来伯を重ねて6月に正式に同職に就任。「ブラジルの勢いに乗って、徳倉も建築業で名を残していきたい」との意気込みを語った。