コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月21日付け

 日本の政治家で「移民導入論」を最初に提唱したのは、故・梶山静六氏(自民党)であった。月刊誌に発表したものであり、確か1千万人を導入しないと、日本の産業や経済が衰退するの考え方であり、あの当時としては斬新的な論文であり、驚いたものである。勿論、戦後移住の再開に骨を折った吉田茂首相もいるし、明治になると移民推進論は大変な勢いだったのは、移民なら誰しもが知っている▼だが—これらは人口問題の解決策としての移民送出であって梶山氏の「導入」ではない。梶山氏の論文は、平成10年の自民党総裁選を目指しての政策論であったが、こうした考えの背景には日本の人口が減少するとの専門家たちの予測が間違いなく影響している。事実、2005年には、日本は歴史が始まってから初めて人口が減ったのであり、これは記念すべき年であり、マイナス2万1266人であった▼厚労省によると、2030年には1億1522万人、2050年になると1億人を切って9515万人になると推計している。これは1年に約70万人ほどが減ることを意味し、これは真に怖いながら、こうした人口減は日本だけではなくイタリアやロシアもだし、ドイツとフランスも出生率が低下し、近い将来に人口減になるのは確実の見方が強い▼と、こんな話を記したのも、ブラジルから日本への「ポロロッカ移民」らの日本定住が顕著の報道があったからだが、こんな形での「移民」が多くなれば、日本の人口減少のマイナスを補う大きな手助けになるかもしれないと—ささやかな期待をしているのだが。(遯)