コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月25日付け

 世の中には珍妙な言辞を弄しもっともらしく述べる連中がいる。熊本市の女社長宅に忍び入り1億5千万円を盗んだ犯人が、1億4800万円を隠匿するためにか山に埋めたと供述したので警察が掘り返すと盗んだお金がそのまま見つかったそうだ。ところが—である。このコソ泥の一人が「刑務所勤めが終わって出所してから使おうと思って」と取調室でしんみり▼この松永なる男は、64歳にもなる熟年ながら、あるいは老後資金にと思案しての埋蔵かもしれないが、まあ—こんな浅知恵で世は渡れない。こんなのを、「いたずらに馬齢を重ねる」と云うのだろうが、アメリカにも、こんな政治家がいる。妊娠中絶反対の共和党の下議で上議議員候補になり選挙運動の演説で「レイプ被災者はほとんど妊娠しない」と生真面目に語ったものだから保守党を始め女性から非難の声が巻き起こり、下議さんは陳謝とお詫びの繰り返し。こちらは65歳ながら、やはり「馬齢」の兆しが見え隠れする▼大阪で生まれ月山明博と名乗った李明博氏も、財界から政治に転進し今や第17代大統領と大躍進ながら近頃の「(訪韓するならば)天皇陛下は謝罪を」と、これまた狂気語録である。これに先立つ竹島上陸の爆弾もあるし、これでは—とても日韓友好は無理。野田首相が、抗議の親書を大統領宛に送ると、受け取りもせずに日本に送り返すことを決めた。これまた外交史にはない異例の措置である▼こちらはただ今、古稀であり—こんな大暴言も致し方ないと諦めるしかないとも思うのだが、それにしても遺憾千万に尽きる。(遯)