コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年9月1日付け

 「ナマコを見習え」が、真宗大谷派南米開教区による『讃仰の集い』で印象に残った話の一つだった。大谷大学の延塚知道教授が、とあるナマコ研究者の主張「何もせず、エネルギーもいらず、砂だけ食べて生きている」を紹介し、「ナマコを通して人間の愚かさを学んでいる」と彼の姿勢を賞賛した。
 会場では大爆笑が起きたが、面白い話だと思った。人間社会では「役に立つ」人間になることに価値があり、ナマコのような人間は価値が低いとされる。しかし人間の視点からすれば「役に立たない」と見える生き物すら、自然界では平等だ。それに、人間のように環境を破壊したり無為に争ったりはしない。
 当たり前と信じてきた価値観も、延塚教授が述べたように、人間の身勝手の一つに過ぎないのかもしれない。自分の価値観を改めて問いたいと感じた。(阿)