演歌歌手 森千紗花さん来伯=「ブラジルに何故か心惹かれる」=2団体に7500レ寄付

ニッケイ新聞 2012年9月4日付け

 大阪出身の演歌歌手・森千紗花さんが先月30日に来伯し、福祉施設「こどものその」と「憩の園」に合わせて7500レアルの寄付を行なった。
 長年岳風流のプロ吟士として活動していたが、1994年にキングレコードからスカウトされ演歌歌手としてデビュー。2006年は映画『新世界歌謡道』も製作するなど、関西中心に女優、役者としても活躍する。
 「ブラジル大好き」という森さんの来伯は3回目。毎回憩の園を慰問しており、2度目の来伯時は藤間流日本舞踊学校による「藤之会」公演に参加、収益金の一部を同園に寄付した。
 「今回は『こどものその』にも寄付を」との芳之丞校長の意向でチャリティー・ショーを予定していたが、同校長が急遽入院したためショーは中止、二人の好意で寄付のみを行なうことになった。
 森さんは現地スタッフや藤之会の藤間芳翁理事長と共に31日、こどものそのを訪れ、園内を見学したり園生らの和太鼓演奏を鑑賞したりと交流を行なった。園生の前で谷口ジョゼー理事長に寄付金を手渡した。
 1日には、憩いの園を訪れ、録音した自らの詩吟をバックに、生け花のショーを行なった。
 着物姿で登場した森さんに、集まった約40人の入居者の皆さんは歓声を上げながら拍手で迎え、完成した2作品に見入った。
 続いて森さんは刊行したばかりの自著エッセイ『好奇心をカバンにつめて』とお茶の葉、金一封を、理事の関秀貴さんに手渡し、その後美空ひばりのメドレーや持ち歌「人生一緒」を歌いながら、舞台から降りて「お元気でしたか」などと声をかけながら、一人ひとりと握手して回った。
 「30カ国旅したが、ブラジルはなぜか懐かしく、心がひかれる」と語りかけた森さんにさかんにカメラを向け、舞台終了後にさっそく現像して写真を渡した男性もいた。
 今月3日〜10日まではアルゼンチン観光、11日以降はブラジルに滞在し、移民の家庭にホームステイしながらエッセイ用の取材を行なう予定。