知伯派作家の田中純さん=元書記官、県議として来伯

ニッケイ新聞 2012年9月4日付け

 『フェルメールの闇』(00年、マガジンハウス刊)などの著作で有名な作家の田中純さん(66、福岡)が、福岡県議として同知事一行とともに来伯した。大蔵省からの出向で80年から3年間、在ブラジル日本国大使館に一等書記官として赴任した経歴を持つ、異色の知伯派作家、政治家として知られている。
 「僕が初めて原稿料をもらったのは、平田進連邦下院議員について書いたノンフィクションでした」と意外な過去を明かす。駐伯時代の知見に加え、福岡県の今村に平田家関係者を訪ねて取材した。大蔵省を退職した直ぐ後、86年頃に雑誌『ブルータス』に掲載され、後に本の一部として刊行されたという。
 昨年から県議に就任し、今回は使節団の一員として8月30日に在聖日本国総領事館公邸で行われた福岡物産展、9月1日の県費留学生OB会設立総会参加などを目的として久々に来伯した。
 「昔に比べて車がきれいになった。昔はタクシーに乗っても床に穴が開いていて、雨が降ると下から降り注いで濡れるくらいだった」と笑い、「貧富の差は相変わらず大きいが、ブラジル経済はすごく良くなり、日本からも注目を浴びる国になった」としみじみ語った。