コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年9月11日付け

 民主党代表選は若手から推された細野豪志氏が、出馬を辞退し野田佳彦首相の再選が濃くなった。もう一つの自民党では、谷垣禎一氏が派閥の古賀誠会長から反対され出馬を断念し、総裁を目指しての立候補が次々と名乗りを上げ乱立の様相を呈している。今のところ安倍晋三元首相や石破茂、町村信孝、石原伸晃氏らが出馬の意向であり林芳正氏も立候補をとしている▼勿論、民主党でも赤松、原口、鹿野氏が出馬するが、岡田副総理や前原氏などの実力派が野田支持で固まっており、次期も野田代表は動かないと見ていいのではないか。だが、次ぎの衆院選で第1党になる可能性が強い自民党の総裁は首相を選ぶのと同じであり、慎重に事を運んで貰いたい。谷垣総裁の出馬辞退に大きな力となったのは、古賀誠会長らの派閥領袖や長老らの発言であったが、全てが派閥で抑えられているわけでもない▼森喜朗元首相は、町村派の実質的なオーナーだけれども、安倍氏の出馬を止めることに失敗し、町村元外相と派閥を割っての総裁選となった事実がこうした状況を何よりも雄弁に物語っている。自民党の歴史を紐解けば、鳩山退陣を受けての総裁選で岸信介氏が最有力とされたが、2位の石橋湛山と3位の石井光次郎氏が連合し、石橋総裁が誕生した。仕掛け人は石橋氏の側近である石田博英氏だった▼恐らく、今回も1位と2位の決戦投票となるだろうから、そのときに誰が誰と組むかの連携作戦が大切になるのではないか。ともかく—若い政治家にバトンを渡し政界刷新に取り組み大活躍して貰うの気概で総裁選挙を戦ってほしい。(遯)