コロニアの〃老い〃研究=至誠ホーム長 橋本さんが来伯=日系人職員の採用を検討

ニッケイ新聞 2012年9月13日付け

 高齢者総合福祉施設「至誠ホーム」(東京都)のホーム長、橋本正明さん(67、東京)が9月初旬に来伯し、憩の園とあけぼのホームで移民を対象に「老い」に関する聞き取り調査を行なった。今回の来伯で、CIATEが介護業務導入講座の開講準備を進めていることを知り、ホームも含めた日本での慢性的な人手不足という状況を踏まえ、来年4月から日系人採用を検討する考えを明かした。

 至誠ホーム(www.shisei.or.jp)は児童・高齢者福祉、乳幼児保育事業を展開する社会福祉法人「至誠学舎立川」が51年に設立したもので、立川市を中心に約30のホームや相談センターを設け、居宅・施設サービスを提供している。職員総数551人。
 橋本さんはソーシャルワーカーを経て73年から同ホームに勤務。96年からホーム長に就任し、98年からは立教セカンドステージ大学講師も務める。
 94年、同ホーム職員が憩の園でボランティアをしたことで縁が生まれ、ホームが同園に寄付金を贈ったり、「同園在日協力会」に橋本ホーム長夫人が運営委員に就任したりと、両施設間での交流が続いていた。
 その縁を利用し、「移民の方が、異国でどんな気持で老いを迎えているかを調べたい」と7人の一世にインタヴューを実施した。多くは戦前の子供移民で、「人生を切り開き生き抜いてきたことや、現状について強く肯定していることを強く感じた」と印象を語った。
 日系人職員の採用に関し、「人とのスキンシップを好むブラジルの文化は、介護の場で活きると思う。本人の意欲があれば、国家資格を取得することも可能だから、ブラジルに帰っても学んだことを生かして仕事が出来る」と語り、双方にとってプラスになることを強調、新たな分野における人材開拓に期待を寄せている。