セッテ・バーラス文協=新会館が今月17日落成へ=総領事、市長迎え親睦会=レ百周年機に活性化図る=目印は「富士、茶畑、鳥居」

ニッケイ新聞 2012年11月9日付け

 聖南西地域のセッテ・バーラス市のセントロ。広場を抜けると道路の右側に、茶畑、鳥居、富士山が鮮やかな色彩でどっしりと描かれた絵が突如として現れる—。今月17日、建設が進んでいたセッテ・バーラス日伯文化体育協会(遠藤寅重会長、会員約80家族)の新会館の落成式が行われる。1、2日に20キロ弱離れたレジストロで灯籠流しが行われたさい、ほぼ完成した会館をサンパウロから福嶌教輝総領事が2日に訪れ、宮下ニウセ同市長や会員ら約30人が集まって親睦会が開かれた。

 来年、レジストロ、イグアッペとともに「レジストロ地方植民地100周年」を迎えるセッテ・バーラス。会館新築は、その記念事業の一環だ。 遠藤会長によれば数年前、「草の根資金」で同地に保健所が完成したとき以来、同地に総領事が訪れるのは2回目。駆けつけた会員や地元の人々は歓迎ムードで総領事を迎え、懇談した。
 遠藤会長は「記念すべき百周年に、何か日本のものを市に残したいと思った」とポ語であいさつし、宮下市長は福嶌総領事に歓迎の意を示し、「市にとって、日本との協力関係はとても重要」と強調した。
 総敷地面積は410平米で、建物面積は275平米。中に入ると広々としたサロンの一部に、整った台所が据えられている。
 冒頭で説明した絵は、遠藤会長のこだわりの極み。絵の中の鳥居はコンクリートで形作り、それを壁に埋め込んであるため、鳥居の上の部分が若干浮き出ているように見えるのだ。遠藤会長の友人で非日系の画家が描いたもので、茶畑は、同地がかつて茶の産地だったことに由来する。
 同市に住んで50年、文協会長には昨年就任した遠藤さん(76、福島)は1年2カ月前から、建設会社を入れずブラジル人の大工数人を雇い、自ら作業に汗を流してきた。初期入植地のマリンガーで2年ほど大工仕事に携わった経験があり、自分のイメージ通りに造りたいという強い思いからだった。まもなく迎える落成式は、まさに同文協の再出発の日だ。
 「日語(学校)もやりたいし、日本料理も作りたい。台所がきれいに広くなったから」—。完成して間もない今からさっそく場所を貸してほしいという声もあるといい、同地の日系人交流の場としてはもちろん、日本文化を地元のブラジル人に発信する拠点にもなるだろう。遠藤さんは活動再開に向け大いに張り切っている。
 最初に文協会館ができたのは1956〜7年頃。最盛期には約600家族ほど会員がいたが、その後は数十年活動停止の状態が続いた。近年若者を中心に柔道が行われ始め、JICAから教師が派遣され日本語学校も運営されていたがその活動も4、5年前から中止となっていた。
 来年の100周年を機に気運が盛り上がり、記念事業として会館新築が決定。老朽化していた建物を取り壊し、再び同じ場所に建設された。