丹下セツ子太鼓道場発表会=助六太鼓の妙を披露=「再来年は盛大にやる」

ニッケイ新聞 2012年11月13日付け

 日本三大太鼓の一つ、「助六太鼓」を実践する丹下セツ子太鼓道場(アルミル・カジハラ代表)の発表会が4日午後、サンパウロ市の宮城県人会館で行われ、約250人の聴衆でいっぱいになった。当日は、東京文京区にある助六太鼓で8年間も修業し、2週間前に帰伯したばかりの小林翼さんが正式に紹介され、来場者の2割をブラジル人が占めて新しい客層に人気が浸透していることが伺われるなど、2年後の丹下さん来伯50周年記念に向けて会場は終始熱気に包まれていた。

 軽妙な司会で場を和ませるのは、同道場が創立した34年前から参加している最古参メンバー浜崎芳一さん(よしかず、45、二世)だ。挨拶に立った丹下セツ子さんは「これは、お客様に見せるためのショーではありません。家族などの関係者に見てもらう内輪の発表会です。みんなが一生懸命練習してきた成果をみてやってください」と呼びかけた。
 ブラジル太鼓界で最も古い同道場は、別の流派が中心になってここ10年で急成長して来たブラジル太鼓協会に入っていない関係もあり、生徒に場数を踏ませる場として4年前から始めた。
 舞台上では6、7歳の子供から大人までが太鼓や日舞を披露し、親や知人が盛んに最前列でフラッシュを焚いた。「祝い」「未来」「荒波」など難曲が次々に披露されると、大きな拍手が送られた。なかでも「2段打ち」は演奏者が二人組になり、グルグルと場所を入れ替わりながら太鼓を打つ場面が見所で、まるで踊っているような優雅さが特徴だ。普段の厳しい練習の成果が伺われる発表となった。
 同道場の支部である、創立8年の勢至丸太鼓(マリンガー)からも5人が馳せ参じ、力強い演奏を披露した。加えてマリアウバ太鼓チームが最近、勢至丸太鼓に指導を依頼にきたことから、丹下道場にまた一つ支部が増えることになるとの発表もあり、会場を盛り上げた。
 最後は丹下道場、勢至丸の全員が出場して終幕の舞台を飾り、司会から「来年の道場設立35周年ですが、再来年が丹下先生来伯50周年なのでその時に一緒に盛大に祝うことになりました。ぜひこれからも観に来てください」と呼びかけて締めくくった。
 娘と孫が出演した馬場清さん(76、長崎)=サントス在住=は「最高でした」と繰り返して嬉しそうな表情を浮べ、甥に当る馬場武彦さん(56、長崎)=同=も「去年よりだいぶ上手くなった」と肯いた。
 丹下道場では毎週土曜午後1時から7時まで練習している。連絡先はカジハラさん(11・99713・5617)、勢至丸太鼓はクラオカさん(44・8826・1496)まで。