コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年11月14日付け

 我が家の会話は日本語とポ語、時には英語も交えた言葉遊びになる事も多く、11月6日付2面掲載のテンサン・プレ・ナタール《TPN、ナタール(クリスマス)の前に精神的に追い詰められた状態になる事》について話した時も、「別のTPNもあり得る」という話になった。6日付紙面のプレ・ナタールはクリスマスの前の意味だが、プレ・ナタールには「出産前」という意味もあるからだ▼つまり、ナタールはイエス・キリストの誕生を祝う時だが、ナタール前と出産前を同じ言葉で表現することに思い当たった。そこから、一般の妊婦が出産前後に気持ちが沈んだりし易くなる事などを思い起こすと共に、キリストを身ごもったマリアが出産前に長旅をしなければならなかった事や、その道中ならびに出産の前後に経験したであろう様々な思い煩いなどが偲ばれた▼一方、3、4日は国家高等教育試験(Enem)、11日はカンピーナス大学、25日はサンパウロ総合大学など、大学や高校の入試が重なるこの時期は、受験生や親、教師達は、サンタクロースならぬサンザクロウス(散々苦労する)ともいえる▼大きな出来事の前などに不安定になるのは皆同じで、出産前後は精神的にも不安定になり易いから平静心を保つ必要があるように、入試前やナタール前も焦りや苛立ちを取り除く工夫が必要だ▼大きな喜びの前は〃生みの苦しみ〃もある。やりたい事が終わってないと嘆き、ナタールの準備で思い煩うより、ナタールを楽しむや今年実現した事に目を向ける事でTPNも回避が可能か。クリスマスが〃苦しみます〃になったのではキリスト様も喜ばない。(み)