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エクアドルもアニメブーム=オタク数千人が殺到=韓国歌謡曲も大人気に

ニッケイ新聞 2012年11月17日付け

 【エクアドル発=秋山郁美通信員】エクアドルの若者グループが主催する漫画アニメ愛好家向けのオタクイベント「Dokkan Genshiken Cosplay」が10日、キト市内の公立学校コレヒオ・ベナルカサル内の文化会館で行われた。企画・運営はアニメやコスプレを愛好する若者25人のグループ「Asa no Inori」(ルイス・プピアレス隊長)。
 会場には、アニメグッズや漫画、日本食販売のほか、日本イベントで定番となっているカタカナでの名前書きのブースが出され、普段は手に入らないお宝商品にキトの〃オタク〃(漫画アニメ愛好家)が群がった。
 日本の漫画雑誌と文庫本を買ったレスリー・ブスタマンテさんは、「普段はスペインにいる親戚から送ってもらっているけど、日本語を勉強してこれを読めるようになりたい」と笑顔で話した。カードゲームやテレビゲームの対戦コーナーのまわりには見物人が集まり歓声をあげていた。
 ステージのある講堂では、アニメ映画の鑑賞会、コスプレとK—POP(韓国の歌謡曲)ダンスのコンテストのほか、日本武術の実演、アニメ主題歌バンドコンサート、同主題歌ダンスパレードと盛りだくさんの内容だ。450席の講堂には通路までぎっしりと観客が入り、熱気と歓声で会場は割れんばかり。
 孫のK—POPダンスを見に来たと言う老夫婦は、「こんなに若者の間で流行っているとは思わなかった。孫はインターネットを通じて情報を集めているのだろう」と驚きを隠せない様子。
 昼前には千枚用意していた入場券は売り切れ、急きょ腕にスタンプを押すことに。コンテストはイベントの後半に集中していたため午後からも続々と人が押し寄せた。
 「これまでのイベントでも600人くらいは集まっていたが、今日は特別。会場が中心地でよかったし、フェイスブックを通じて2千人を超える人が参加表明をしていた」と予想以上の来場者にプピアレス隊長も慌てていた。
 コンテストの中で特に熱狂的な盛り上がりを見せていたのはK—POPダンス。日本文化ではないが、アニメからアジアの文化に興味を持った若者がインターネットを通じて知り、楽曲をダウンロードして見様見まねで歌ったり踊ったりしているという。
 「K—POPを取り入れるのは2年目。確実にファンが増えている」とプピアレス隊長。今回のイベント内でK—POPダンスコンをするにあたり、韓国大使館に協力を依頼していたという。「韓国単独ならいいが、日本のイベントの中でやることには協力できないと言われた」とか。
 ダンスコンテストに初めて参加したというドミニク・オルドニェスさん(18)は、「台湾からの留学生を通じてK—POPを知った。大学にはオタクともだちはいないけどたくさんの人と知り合えたし、好きなものが集まっていて最高の場所」と興奮した様子。
 夕方から激しい雨が降ったが、夜7時半の閉会まで会場の熱は冷めなかった。イベントの大成功に同隊長は「次回は日韓両方の大使館や市の協力も得てさらに大きくしたい」と抱負を語った。
 来場者に日本人、韓国人の姿はほとんどなかったが、当地の日韓友好のカギはオタクが握っているかもしれない。

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