コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年11月17日付け

 「昼間でも、一人で歩くのは危なくないですか?」との一言が強く印象に残っている。
 先日、日本からの電話で、「来週単身でサンパウロ市に滞在するので、目当ての店まで案内をして欲しい」と言われた。平日に仕事を放り出して対応することは出来ないため、丁重にお断りさせていただいたのだが、その際、不安げに呟いていたのが冒頭の言葉だ。
 驚くべきは、その人がブラジルで生まれた格闘技の指導者で、過去に1カ月以上の滞在経験のある資格保有者だったことだ。治安が悪いのは事実だが、日本でブラジル文化の普及に関る人の発言とは思えず、思わず考えこんでしまった。
 過去に何があったのかまでは聞くことは出来なかったが、訪伯経験者の言葉は、日本でのブラジルのイメージを形作る重要な要素となる。彼の今回の来伯が良いものとなるのを願うばかりだ。(酒)