「サンパウロ市の20年後視野に」=5期目の野村市議が抱負

ニッケイ新聞 2012年11月23日付け

 先月7日に行われた全国統一地方選で、5期目の当選を決めた野村アウレリオサンパウロ市議(PSDB)が8日に本紙を訪れ、次の4年の任期への意気込みを語った。
 「20年後のサンパウロ市を見すえ、プロジェクトを練っている」という野村氏の注力する分野は環境問題。片道数時間かかる場合も少なくない市民の劣悪な通勤状況を改善すべく、「水上輸送バスなどのインフラ整備の提案する構想もある」と語った。
 日系社会への支援の面では16年前から提案しているという、リベルダーデ区にブールバール(Boulevard、街路樹や商店街などを備えた広い近代的な道路)を造る案について説明した。
 「サンパウロの観光地の代名詞的存在であるリベルダーデを活性化させるべき。時代に取り残されたような今の状態を変え、観光客や企業の投資を呼び込めるよう、後押ししたい」とその目的を話す。
 野村氏によれば多くの国際投資家が(ブーレバールの整備に)関心をみせているために実現の可能性は高いという。しかし、「サンパウロ市都市化公社(Emurb)の代表が誰になるかによって変わる」と続け、担当行政局の方針次第で展開が変わると説明し、「プロジェクトはまだ調整の必要があるが、工事がもし始まれば完成までには3年かかると思う」と見込んだ。
 次に、取り組みたいこととして挙げたのはサンパウロ市制400周年を記念して1954年に建設された日本館の修復。市の委託で文協が管理、運営を担ってきたが、シロアリ被害と老朽化のため、現在は無期限で閉鎖されている。
 その修復工事費として野村氏は既に50万レを申請したというが、環境局から許可が出なかったという。文化局に再度申請し、現在は市長の署名を待っている状態だが、「(任期満了まで)時間がない」と明かした。
 さらに、野村氏の呼びかけで昨年9月、コロニアの代表を招いて初の公聴会を開いたリベルダーデの美化運動「リベルダーデ・リンパ」については、その後もう一度会を開くにとどまっていたが、また来年から再開すると明言した。
 「選挙の前年だったので支持集めと誤解される恐れがあり、あまり積極的に進められなかった」と説明。清水オリジオ補佐官によればポ、日、韓、中4カ国語によるゴミの収集ルール等を説明した手引きは既に完成しており、今後はその配布などを通して住民らの意識改革を求めていくという。