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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年1月8日付け

 5日付ロイターの記事に、日銀の総裁が米国で4日、「ブラジルや中国などの新興諸国で悪性の資産バブルが発生しつつある可能性に懸念を示した」との文があった。不学故に何を基準に悪性と呼ぶか判断しかねるが、7日付エスタード紙は昨年末までに未払いの連邦政府の経費は過去最高の2千億レアルに到達との報道も▼この金額は02〜03年の繰越額の10倍だから、庶民的に言えば、クレジットカードや先付け小切手の使用額が10年で10倍になり、払いきれずに越年といったところか▼一度贅沢の味を覚えると切り詰めるのは難しいが、庶民ならこれだけ借金があれば夜逃げするか首を吊るかという話になりかねないのに、国などが借金を重ね、今年の予算執行を脅かすほどの負債を負っていても、多くの庶民はそれをる知る事もなく日常生活が進んでいく▼新興国の雄といわれるブラジルや中国への懸念は、既にバブル崩壊経験がある日本ならではの発言だが、当該国がそれを自覚し、最悪の事態回避のための対策を講じているかは疑問だ▼リオ州での水害発生後の4〜5日のブラジルメディアには、連邦は膨大な金額の防災予防対策費を計上・公表しているのに、現実に支出されたのはごく一部しかないとの報道があった。リオ山間部では現場の諸問題により、2年前の復興支援費で建設するはずの家屋がまだ工事すら始まってないとの記事も。同州ではゴミの回収停滞が被害を大きくしたとの話も流れた▼今のブラジルはけっして資金がないわけではない。問題は政治家、官僚機構による使い方が効率的でない点のようだ。このような〃人災〃が庶民の生活を脅かす日はいつまで続くか…。(み)

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