2福祉団体が真摯に即応=希望の家、早くも対策はかる=こどものその「心から謝罪」=匿名読者の本紙寄稿うけ

ニッケイ新聞 2013年1月11日付け

 本紙12月15日付け6面掲載の『寄稿 日系福祉団体のありかたを問う』での匿名希望の読者からの意見を受け、記事中に名前が挙がった4福祉団体のうち、「こどものその」と「希望の家」の2団体の代表者が来社して反省の弁を述べた。事務局の対応の悪さゆえ寄付を取り止めたとされる「希望の家」の上村ジャイロ理事長は、即座に本人に電話で謝罪。後日改めて小切手が届けられたことも報告した。

 長年に渡って日系福祉団体に寄付を行っている匿名の読者からの寄稿は、各団体の対応の悪さ、誠意のなさを指摘、改善を求めていた。
 10日に来社した上村理事長と大野孔三副理事長は「真摯に、謙虚に受け止めなくてはならない」と神妙な面持ちを見せた。
 「今回のようなことが起こったのは、事務所の受付となる1階に経験の浅い事務員しかいなかったこと。迎え入れる来客スペースがなかったことも原因」と反省を語り、匿名読者の来訪があった翌日、上村理事長が謝罪の電話をしたことも明かした。
 「新聞に掲載されてから事態を知った」という大野副理事長によれば、掲載翌日16日から、2階にあった事務局長のデスクを1階に移動、部屋のレイアウトを変更、応接スペースを設けるなどの対策をとったという。
 「今後このようなことが二度と起こらないようにしたい」と気を引き締めた表情を見せ、入り口に来客を見逃さないための鏡を取り付けるなどの改装を継続して行い、「今月中には全ての作業を終える」という。
 同団体には、後日匿名の寄稿者から謝罪を受け入れる書状とともに取り下げた寄付金2500レアルの小切手が届けられた。上村理事長は「電話をして心からの謝罪をし、誠意と反省の気持ちを伝えられたと思う」と話した。
 同様に「こどものその」の谷口ジョゼ理事長らが寄付者へ理事長署名入りの詫び状をもって9日に来社した。以下に全文を掲載する。

 寄付者へのお詫び=こどものその 理事長 谷口ジョゼ

 2012年12月15日付けニッケイ新聞に、匿名希望のサンパウロの投稿者が日系福祉団体の職員の対応について述べられたご意見に対しお答えします。
 ここに述べますのは「こどものその」の理事会及び職員の見解です。
 12月15日のニッケイ紙に掲載された記事については数日後に知りました。私達が受けたインパクトは驚愕と落胆をミックスしたものでした。遺憾極まりない事です。然し、それは真実であり私達の至らなかった事を認めざるを得ません。ただひたすらに匿名投稿者並びに、あの記事をご覧になって憤慨された読者の皆さんに対し心から謝らなければなりません。
 当団体の理事会並びに職員はこれを謙虚に受け止め、反省し、この様な事態を二度と繰り返さぬよう、責任を以て、最善の努力を尽くす事をお約束いたします。
 「こどものその」は54年の歴史を持ち、現在85人の知能障害の入園者を預かっております。入園者は全員成人で多くの者がすでに老齢期に入っております。当施設の維持費の大部分は寄附金、食料品、衣料、清掃材、中古家具などのご寄贈並びにボランティアの皆さんの作業活動によって賄われております。この貴重なご支援に対し私達は何もお返しすることが出来ず、只々感謝するのみです。
 然しながら、生身の人間であり毎日のルーチンに浸かり、ともすれば、その弱みを曝け出します。新聞に発表された御意見は私達にとって最も重要な、〃感謝の気持ちを忘れず〃の精神を保持する事に対する警告として受け止めなければならないと思っております。