マナウス=高拓生、移民の歴史知って=『エスパッソ・ユマイ』オープン=高拓二世 佐藤夫妻が自費で建設=日本文化講座なども開催

ニッケイ新聞 2013年1月16日付け

 ジュート栽培でアマゾン経済を支えた高拓生を父に持つ佐藤ヴァルジール、マルガレッチ夫妻が私財で3年をかけ、総合商業スペース『エスパッソ・ユマイ〜日本のかけらとマナウスの心』をマナウス市セントロに昨年12月15日にオープンさせた。10部屋を持つ2つのビル(延べ床面積700平米)に、高拓生をはじめとする日本移民の常設展示、土産物店、賃貸サロンなどがあり、日系イベントなどにも活用するという。佐藤さんは「これでアマゾン社会、特に学生たちに、ジュートをもたらした高拓生や日本人移民の歴史を知ってもらえる」と喜んでいる。

 「高拓生だった親を顕彰すること」「アマゾン日本人移民を社会に知らせること」「日本文化愛好者に日本的な雰囲気を味わえる場を提供すること」の3つが目的。
 高拓生を中心とするアマゾン日本人移民常設展や、日本文化にまつわる写真や模型が無料で公開されている。落成式にはアマゾン高拓会(丸岡一宇会長)の理事や高拓子弟ら約60人が出席し、完成を祝った。
 高拓生は、アマゾン開拓のため渡伯した国士舘高等拓植学校(後の日本高等拓植学校)の卒業生。ジュート栽培で同州経済発展に寄与したが、第2次大戦時に資産を強制接収、迫害されたという苦い歴史を持つ。
 親の汚名を晴らしたいと願う子弟の奮闘により、佐藤さんが同会会長だった2011年、州政府による正式謝罪を実現。記念誌を刊行するなど歴史検証に努めてきた。
 廊下や階段には、富士山、姫路城、金閣寺など、高さ2〜3メートルの写真が飾られ、鳥居や日本家屋、10メートルもある巨大竜の模型も置いた。
 サロン「ヴィラ・アマゾニア」は、日本文化講座や高拓会のイベントに利用され、その他のサロンは、主に日本文化に関する企業・団体等に貸し出す予定だ。
 今後の企画として、佐藤さんは「高拓会とエスパッソ・ユマイ共同で、上塚司(高拓生事業の主催者)が唯一実現できなかった事業、博物館の建設を考えたい」と話した。
 住所はRua 10 de Julho 663、開館時間は月〜金の午後4時〜5時まで。入場無料。入場には電話(92・3234・1735、9112・7780)もしくはメール(lojasyumai@gmail.comamazonkoutakukai@yahoo.com.br)で予約が必要。