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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年1月18日付け

 大島渚監督が15日に亡くなった。妻で女優の小山明子が当地に深い縁を持つことは有名だ。パラー州のトメアスー移住地に胡椒の苗を持ち込んだ南米拓殖会社の社員・臼井牧之助が実父だからだ。その関係で約30年前の1984年9月、アマゾン入植55周年式典に同夫婦は初来伯した▼大島は『愛のコリーダ』(76年)『愛の亡霊』(78年)『戦場のメリークリスマス』(83年)と立て続けに話題作を発表した絶頂期だった▼当時のパ紙をひっくり返すと、同監督来伯の記事がほぼない。ところがポ語欄では2度も大きく取り上げられていた。すでに日本的、コロニア的というより、国際的な存在だった▼84年9月19日付け同ポ語欄で大島監督の講演内容を紹介している。当地のグラウベル・ロッシャ監督の作品に共感を覚え、実際に本人と話をする機会があったという。セルトンの厳しい現実を描いた映画『Deus e o Diabo na Terra do Sol』等を代表作とする天才の誉れ高い監督だ▼グラウベルは62年に聖市で大島の『青春残酷物語』『太陽の墓場』を見ている。まだ欧州では未公開だった時期であり、日本以外で最大の同胞社会があったからそれが可能だった。大島は「グラウベルと後に知り合ってこう言われた。あの映画をみて、オオシマはきっと年寄りに違いないと思ったって」と大笑した▼大島の伯国との出会いはソグロだった。「妻の父が常々ブラジルのことを熱く語って聞かせたので、その映画には自然と深い興味を持つようになり、いつの日か訪れたいと強く願うようになった」とある。臼井のそんな隠れた功績にも喝采を送りたい。(深)

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