映画監督 竹田信平さん=伯、パ国で被爆者を取材=若者への伝え方を模索

ニッケイ新聞 2013年1月23日付け

 在米被爆者を追い続ける竹田信平監督(34、大阪)=メキシコ在住=が先月17日に来伯し、当地とパ国で被爆者7人の取材を行ったほか、自身が制作したドキュメンタリー映画『ヒロシマ・ナガサキダウンロード』(2010年、73分)の特別上映会に出席した。
 「戦争を知らない世代に、戦争の記憶をどう伝えるか」がテーマ。国連軍縮局と提携し、被爆者12人の証言を11カ国で閲覧できるサイトを立ち上げるなど幅広く活動する。来伯は4回目で、ベレンやゴイアスなど各地で取材している。
 「(日本国外で)広島、長崎をどう思うかと聞かれても知らなくて恥ずかしかった」と振り返る。04年に原爆映画の制作スタッフをしたことを機に、自らも取材を開始。05年から南北米全国を巡り約60人の被爆者の体験談を集め、若者の視点から同ドキュメンタリーを制作した。
 「次世代の若者はこれから、どう被爆体験者の話を聞き、扱っていくかを考えないといけない。映画を通してそれを問いたかった」と映画に込めた願いを語った。
 なお、上映会はブラジル被爆者平和協会ともかかわりの深いSindicato dos Quimicos e Plasticosで開催され、約30人が参加した。同平和協会の渡辺淳子理事は「子どもや孫にとって、この世界がどんな世界であってほしいか考えさせられた」と感想を述べた。