パイロット社=ジュンジャイ市に新工場=環境、従業員にやさしく=生産能力は3倍にアップ=早乙女社長「社名どおり水先案内人に」

ニッケイ新聞 2013年1月24日付け

 筆記・文具製造メーカーのパイロットペン・ド・ブラジル(早乙女辰男社長、1954年設立、本社・東京)が14日、ジュンジアイ市で新工場の落成式を行った。サンパウロ州サンミゲル・パウリスタ市の旧工場(58年建設)が手狭になったため、移転を目的に昨年2月から建設が進んでいた。敷地面積は3万6千平米(工場面積は1万3600平米)、総工費約5千万レアル。生産能力は旧工場の約3倍だが、当面は従来の生産量を維持するという。式典には東京本社の渡辺広基代表取締役社長やペドロ・ビガルジ同市長、福嶌教輝在サンパウロ総領事ら約70人が出席した。

 ブラジルの筆記具市場における同社占有率は3割程度。主力商品はマーカー、蛍光ペン、ボールペン、シャープペン、スタンプ台などで、値段は割高だが高品質が売りだ。同工場で生産された商品は全て、ブラジル内で消費されている。
 今月3日から稼動を始めた新工場では、従業員約175人が働く。今後200人まで増員する予定。雨水や天井からの自然光を利用し、電気や水の使用を抑える省エネシステムを採用したほか、社員が快適に過ごせる環境づくりにも配慮した。
 物流に適した場所であることに加え、敷地内で生産と製品保管が可能になったことから効率アップも期待される。順次生産ラインも増設するという。
 式典の冒頭、エドアルド・ヨシダ人事総務担当が同社の沿革を説明。続いて早乙女社長は完成を喜びながら、「来年は60周年を迎える。『水先案内人』を意味するパイロットの社名のごとく、これからも常に一歩先を行く企業であり続ける」と話した。
 ビガルジ市長は感謝を示すと共に、良質な労働力の育成と確保に意欲を見せた。その他来賓も祝辞を述べた。
 続いて記念プレートの除幕が行われ、来賓らは新工場を見学した。最後に鏡割りで落成を祝った。