優美・喜楽初公演=「日本の舞台みたい」と賞賛=文協大講堂が超満員に

ニッケイ新聞 2013年1月25日付け

 ジャパニーズダンス・カンパニー「優美」と太鼓集団「喜楽」の初めてとなる合同ショーがサンパウロ市の文協大講堂で開かれ、満員となる約1200人が会場に駆けつけた。
 両団体は、花柳流名取の花柳寿美富浩さんが2010年に独立し、花柳流を基にした新舞踊グループとして「優美」を、甥の佐藤勇人さんを代表に据え「喜楽」を設立した。それぞれ14人、9人が所属し活動を行う。共にメンバーの多くが10代から30代前半の三、四世が占める若い団体だ。
 今回の初公演には、日本で活動する大衆演劇劇団「響ファミリー」から、寿美富浩さんの実弟にあたる響一真さんが応援に駆けつけ、特別出演を果たした。
 佐藤司さん(16、四世)が女形として舞う「天女伝説」から公演はスタート。背景には電光パネルが設置され、曲目のイメージに合わせた映像が流される迫力のステージに、観客からは大きな歓声が上がった。
 サプライズとして、プログラムにはない演目「車屋さん」「スーダラ節」に一真さんが登場。寿美富浩さんや勇人さんと共演した。
 大喝采の中第一部が終了すると、大サロンに設けられた関連グッズ売り場には人が殺到した。
 「姪の初舞台を見に来た」という福重ジルダさん(64、三世)は一真さんのCDと風呂敷を購入。「初めて見たけど、ファンになっちゃった」と笑顔を見せた。
 第二部では、一人での舞台が中心だった一部から、「梅一輪」「櫻の花の散るごとく」などの曲目によるグループ演技が中心となった。
 一転、一人舞台となった「響一真メドレー」では、ステージから降りた一真さんが観客席の間を飛びまわり、艶やかな舞を披露した。
 最終プログラムとなった「轍」では、太鼓と舞踊が共演。多くの出演者がステージに上がる中、最年少の田中勇太郎君(2、四世)も撥を持って登場し、力強く太鼓を叩いた。
 最後の舞台挨拶では、背景に公演テーマである「ありがとう、すばらしい文化を伝えてくれて」との文字が浮かぶ中、寿美富浩さんが目に涙を浮かべながら来場者に向けて一礼。会場は大きな拍手に包まれた。自身が演出を担当する初舞台。「全てが手探りだった。まだまだ未熟なのはわかっているが、これだけの方が集まってくれたのは感激」と声を詰まらせて話した。
 友人とともに来場した70代の女性は「一真さんの名前を聞いて来たけれど、進行のスムーズさや演出などを含めて本当に良い舞台でびっくりした。なんだか日本で見ているよう」と感想を語っていた。