コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年3月6日

 「日産の海外生産が77%超え」との報道に接し、他も調べてみるとトヨタも60%台に乗せ、ホンダに至っては80%を超えそうな勢いだとか。企業の海外移転が進んでいる▼思えば当地の日系新興宗教も同様の勢いだ。ブラジル世界救世教の信徒数は45万人だが、定期的に通っている人は250万人を超えると以前聞いた。PL教団も全世界の信者数130数万人のうち、日本が100万人、ブラジルが30万人、残り数万が他の海外拠点だとか。生長の家に至っては日本国内200万、当地もほぼ同数に至っていると聞く▼生長の家が増えた秘密は様々なメディアを駆使している点にある。広報責任者に聞くと、ポ語月刊誌は60万部だし、テレビ番組は地方局を含め21局、ラジオ番組は86局で放送している。最近は「You Tube」サイトに多くの講演映像を載せ、その視聴者が90万を超えたとか、無料電話相談窓口を設置して毎日4千件もの電話を受け、フェイスブックの同サイトの「友人」が4万5千人を超えたと聞いた。日本を凌ぐ圧倒的な勢いで増えている感じだ▼それを聞き、当地での事業比率を急激に高めている某有名商社の幹部が数年前、「日本での事業拡大はあまり望めない。この調子なら、いずれ本社をこっちに移すかも」と冗談で言っていたのを思いだした▼前述教団は当地で指導者を育成して南米や欧米に派遣し成果を上げている。日本的思想を当地で西洋式に馴染ませ、ここを本拠にして世界へ発信するやり方は先進的だ。世界進出を本格化させた進出企業や宗教団体が将来、国際本部を当地に置き、ここから世界に発信する時代になるかも。(深)