コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年3月23日

 先の10日に英領フォークランド(スペイン語ではマルビナス)で住民約3千人が、島嶼の帰属をめぐり住民投票を行った。結果は言うまでもなく98%が「イギリス」と答え、遠く離れた英国本土も大喜び? し、アルゼンチンは憮然とした面持ちらしい。あの島嶼は昔から独仏やスペイン、アメリカなどが絡み戦争もいっぱいあったし、近年では1982年にアルゼンチンが軍事侵攻し、フオークランド戦争が起きたのは記憶に新しい▼時の英国首相は。「鉄の女」の異名もあるサッチャーさんであり、アルゼンチン兵らが島を占領の報告を受けると「人命に代えても領土を守る」と宣言し、空母を始め艦隊と爆撃機を派遣し激戦を展開し、アルゼンチンは降伏し白旗を掲げた。だが—これでもアルゼンチンは「我が国の領土」とし、国家最大の課題として根強い抵抗を続けているのは、ご承知の通りである▼アルゼンチンから770キロ沖に浮かぶフォ諸島は1833年以降、英国が実効支配しており、本国から導入した羊の牧畜を軸に近年は漁業が盛んであり、あの近海で獲れたイカはブラジルにも輸入され宮城県人会の名物「イカ焼き」も、「イギリス産」である。ところが、最近になって島嶼の沖で海底油田が見つかり話題になっている▼これがかなり大規模で有望らしいのでアルゼンチンもそう簡単には引き下がれない—の推測もあるし、どうやらこの領土争いは長引きそうなのだ。勿論、英国だって「原油は死ぬほど欲しい」から厄介だし、第2のサッチャーさんが現れないと、かなり危険な様相も—気掛かりである。(遯)