コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年4月13日

 日本の憲法はGHQの「押し付け論」に始まり、あの前文は「日本語ではない」と昔から批判が多い。第9条の戦争放棄は、諸悪の元凶と決め付ける厳しい論客もいる。こうした改憲論は宰相吉田茂氏の講和条約締結の頃からあり、岸信介首相も改憲論者だし、自由民主党の綱領にも「憲法改正」の条項が盛り込まれている。だがー実際に改 正を目指しても、第96条の難関があり、実現は難しい▼ここには、憲法を改正するには衆参議員の「3分の2以上」の賛成で発議できるとしてある。これを受けて国民投票が行われ「イエス」か「ノー」が問われるのだが、どうやら今国会に自民党から改正を問う法案が提出される公算が強くなってきた。自民の憲法改正委員会の保利代表が言及し、安倍首相も意欲を燃やしており、夏の参院選挙の結果にもよるが、改正へと大きく進んだと見ていいのではないか▼改正案は「3分の2」を「過半数」にすることであり、国民投票については第一次安倍内閣で「憲法改正国民投票法」を制定しており、夢とされてきた憲法改正をやっと手にすることができるようになることを期待したい。勿論、この改正提案は、自民党単独では議員数などの関係で無理があるが、維新の会の橋本徹代表が首相と会談し「改正に賛成」しているし、石原慎太郎代表も改正派の指導者である▼唯、連立の公明党は消極的な姿勢だが、賛成派もいるし大きな流れとしては改正へと進むに相違ない。国民の意識も世論調査によると「改憲派」が圧倒的であるし、GHQ憲法の見直しが問われる時代を迎えたの認識を更に強くしたい。(遯)